【私のおふくろメシ】
ケンティー健人さん（YouTuber）
人気YouTuberのケンティー健人さんはSNS合計で実に900万フォロワーを持つ。「ケンティー健人の世にもおいしい一人飯」（光文社）が好評発売中だが、思い出のご飯は祖母が作ってくれた親子丼。
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今も福井県に住んでいます。福井市清水という田んぼに囲まれているようなところで、そこで生まれ育ちました。両親は共働きで兄と姉がいて3人きょうだいの末っ子。子供の頃は父方の祖母（富士枝さん）が同居していたので、僕のおふくろ飯はおばあちゃん飯です。とにかく優しくて、近くの駄菓子屋では僕が好きなものを何でも買ってくれました。小学2年まではおばあちゃんと一緒に寝ていたほどです。
中学、高校は部活で剣道や柔道をやっていたので、部活から帰るとおばあちゃんが「お腹がすいてないの？」ってよく作ってくれたのが親子丼です。シンプルに鶏肉とタマネギと卵で作った甘めの味付け。僕が好きなので鶏肉がない時でも、タマネギと卵だけで作ってくれました。
それからたくあんの煮物も思い出の味です。福井の郷土料理ですが、普通の白いたくあんを1センチに切り醤油とみりん、砂糖で煮るだけ。食卓によく出るおかずでした。
僕は「料理インフルエンサー」なんて呼ばれていますが、動画の投稿にはもともと興味がありましたね。結婚して家族がいたので、実際に撮影を始めようとすると何だか恥ずかしくてできなかったけど、離婚して1人暮らしを始めてから、できるかなと思ってやったのがTikTok。その時は、はやっていたモノマネで、音楽に合わせたダンスを投稿したけど、バズらず。
ちょうど同じ頃に自炊を始めたので、おいしくできたら自分一人で満足するんじゃなくて「おいしいから食べてみて」と誰かに伝えたいと思うようになり、自炊して食べるのを撮影して投稿してみました。それがSNSで「簡単だし、おいしそう」とか「私も作ってみたい」って言ってもらえて。それから続けているというわけです。
自炊を始めたとき、レシピ本を見ながら挑戦
自炊を始めた当初、おばあちゃんの親子丼が懐かしくて思い出していたんです。でも、最初は何も作れなかったので、レシピ本を買いました。それに親子丼の作り方が載っていたので、早速おばあちゃんの親子丼を作ってみました。実際に作ってみたら最初は卵が固まったりして難しく、おばあちゃんの味を再現できませんでしたが、レシピ本を見ながらなら、いろんな料理を作れるのがわかりました。
残念ですが、その頃にはおばあちゃんは亡くなっていたので、生きているうちに僕が料理に興味を持っていたら、作り方とか調味料のことももっと聞くことができたんですけどね。おばあちゃんの味はほんだしベースに砂糖多め、みりんも使っていたと思います。最後に味の素で味を調えていたんじゃないかな。卵が半熟で本当においしかった。
僕の料理は言葉や説明を入れず、映像と音だけを発信しています。「分量が知りたい」というリクエストをたくさんいただいたので作ったのが今回のレシピ本です。
作り方といっても簡単な料理ばかり。知識が必要なものはないです。材料や分量もわかりやすくちょっとした工夫を加えています。ショート動画を見ているような感覚でバーッとめくって雰囲気をわかってもらえたらいいなって思って、写真を多めに掲載しました。
例えば、牛モモ塊肉のたたきは表面だけをしっかりと焼き、フライパンから取り出してアルミホイルで包んで余熱でおいた後、切り分けて醤油ベースのソースで食べるのですが、おいしくてよく作りました。中がちょっとレアでお肉を味わうには抜群です。
肉巻きおにぎりは投稿したら全世界に広がりTikTok、YouTube、Instagramを合わせて再生数7000万回を超えました。醤油、砂糖、みりんで煮詰めたキャラメリゼがおいしくて、大好きな肉料理です。
どれも簡単なものばかりですから、ぜひ作って食べてみてください。
（聞き手=浦上優）
■親子丼レシピ
（1）鶏肉を一口サイズに切り、タマネギを千切りに
（2）卵を3個ボウルに割り黄身をハシでつまんで潰しながら7回ほど卵を混ぜる
（3）フライパンに米油を少量入れて鶏肉を焼いて焼き色をつけたら、タマネギを入れてしんなりするまで焼く（中火）
（4）フライパンに料理酒、みりん、醤油、ほんだしと砂糖（多め）を入れて5分ほど煮詰める（弱めの中火）
（5）溶いた卵の白身のみゆっくりとフライパン全体に入れる（中火）
（6）フライパンに蓋をかぶせ、白身が半熟になったら蓋を外し、残りの卵（黄身）を入れたら火からおろし蓋をかぶせる（蓋をかぶせて1分）
（7）丼にご飯を好きなだけ盛り、フライパンの中身の具をご飯の上に盛り付けて小ネギを散らしたら完成
