メジャー初勝利の山本由伸は「2戦連続無失点」 好投支えたドジャースの投手起用とは?

山本由伸(C)共同通信社

トンネルを抜けたと言えるのではないか。

日本時間7日のカブス戦に先発、5回を3安打無失点に抑えてメジャー初勝利をマークした山本由伸(25=ドジャース)のことだ。

3月7日と14日のオープン戦2試合は計7回3分の2を14安打9失点。開幕シリーズだった21日のパドレス戦は1回を4安打5失点。3試合続けて火だるまになっていたものの、31日のカージナルス戦からこれで2試合、計10イニングを無失点に抑えている。

昨年は3月のWBCから11月の日本シリーズまでほぼフル回転。体を十分に休める間もなく、新天地でキャンプになだれ込んだ。「オープン戦中に疲れが出て当然」とはメジャースカウトのひとりだが、ある特派員によれば「山本が立ち直ったのは首脳陣の配慮が大きい」という。

「不調は疲労が原因とみた首脳陣は、韓国のパドレス戦後に登板間隔を空けて山本をローテの2番手から3番手で起用。球数も2試合続けて80球に抑えた。計算の立つ先発が揃っているように見えて、実はいないのが今のドジャース。トミー・ジョン手術明けのビューナーの先発起用に慎重で、復帰を先延ばしにしたからです。そのためルーキーのストーンを含めた5人が現在の先発陣ですが、それだと登板間隔が詰まるため、開幕早々6人目にオープナーを使ってローテに余裕をもたせた。おかげで今回の由伸は中6日、日本と同様の登板間隔で投げることが可能になったのです」(同)

メジャー挑戦する日本人投手にとって、鬼門は1年目の前半。大谷、田中将大、藤川球児、和田毅……彼らはサラサラして滑りやすいメジャー公認球、硬いマウンド、タイトな登板間隔……日本のプロ野球と異なる環境への対応から肘の靱帯を損傷した。その点、山本は無理のない起用に助けられ、それが好投につながっているようなのだ。

この日の山本は初回の無死満塁から三者連続三振。2死走者なしからまたしても満塁とされた二回も後続を三振に打ち取った。勝負どころで再三使ったカーブが有効だった。

「素晴らしい投球内容だったね」とロバーツ監督が相好を崩せば、山本本人も「(初勝利は)すごく嬉しい。きょうはストライクゾーンにいい球を投げていこうと。カーブで何とかカバーできた」と満足げだった。

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山本はデビュー戦で「日本人投手最短KO」という不名誉なスタートを切っていた。これを招いたのは本人の問題ではなく、実はフロントの失態と言っても過言ではない。いったいなぜか。

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