パチンコ産業重要指標を予測(2024年)~2028年のパチンコホール数を5,900店舗、遊技機設置台数を308.4万台と予測 、市場規模はゆるやかに減少する見込み~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、YANOパチンコデータベースを基に2028年までのパチンコ産業の重要指標について将来予測を行った。ここでは、パチンコホール数、遊技機設置台数の予測について、公表する。

1.市場概況

かつて “30兆円産業” と言われたパチンコ産業は、2000年代半ばから長期にわたり市場規模の減少が続いている。2018年には遊技機(パチンコ機・パチスロ機)に関する規則が改正され、全ての遊技機(旧規則機)を2022年1月末までに新規則機に入れ替える必要に迫られた。パチンコホール経営企業の多くが入れ替えによる費用負担に苦しむなか、2020年には新型コロナウイルス感染症拡大による行動制限などで業容が低迷し、市場規模がさらに縮小した。
その後、2022年11月から導入が始まったメダルを触らずに遊ぶことができる「スマートパチスロ」※が好調なことから、一時的には市場規模の回復が見込まれるものの、パチンコホール・遊技機設置台数の減少、およびパチンコ参加人口の減少が影響し、市場規模はゆるやかに減少する見込みである。

※「スマートパチスロ(スマスロ)」とは、遊技メダルを電子データ化することで、物理的な遊技メダルを使用せずに遊技できるパチスロ機。「スマートパチンコ(スマパチ)」は、遊技機の内部に遊技球を封入して循環させることで、遊技球に直接触れることなく遊技できるパチンコ機。共に、内規変更によって従来機と比較してスペック設計の幅が広がり、多様なゲーム性を持つスマート遊技機の開発が可能になる。

2.将来展望

本調査では「YANOパチンコデータベース」を基に、パチンコ産業の実態を表す重要指標について2028年までの将来予測を行っている。パチンコホール数、遊技機設置台数の概要は以下の通りである。

【パチンコホール数】
2022年末時点での警察庁による営業許可証ベースのパチンコホール数は7,665店舗となり、前年から793店舗(前年比9.4%減)の減少となった。以前から遊技機設置台数の多い大型店の方が人気機種について、品揃えや台数を数多く用意できるため、集客において優位となっていて、逆に設置台数の少ない小型店舗は集客で不利なことから、そうしたパチンコホールを中心に減少が続いている。今後もこの傾向に変わりはなく、2028年には5,900店舗(中位予測)になると予測する。

【遊技機設置台数】
2022年末時点での警察庁による営業許可証ベースの遊技機設置台数は356万4,039台となった。遊技機設置台数の少ないパチンコホールの閉店もあり、1店舗あたりの平均設置台数は増加傾向にある。2012年末に378台だった1店舗あたりの平均設置台数は、2022年末には465台にまで増えている。今後もパチンコ店舖数が減少する一方で、1店舗あたりの平均設置台数は増加が続く見込みで、遊技機設置台数はゆるやかに減少していき、2028年には308万4,000台(中位予測)になる見通しである。

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