元エースに完全復活の兆しだ。バレーボール女子日本代表の黒後愛(25=埼玉上尾)が単独インタビューに応じ、日の丸への思いを明かした。2021年東京五輪は大黒柱として活躍が期待されながら、25年ぶりの1次リーグ敗退に終わった。その後は1シーズンの休養を余儀なくされたが、パリ五輪イヤーに3季ぶりに代表復帰。残り5枠のパリ五輪切符を懸けたネーションズリーグ(VNL、5月開幕)に向けて〝自分へのご褒美〟を定め、チームの勝利に貢献するつもりだ。
――3季ぶりに日本代表に選出された
黒後 また代表メンバーと世界に向かっていけることに日々、喜びを感じている。今年は五輪イヤーなので激しい戦い、厳しい戦いがあると思うけど、毎日積み重ねていけたらと思っています。
――東京五輪後は心身のギャップに苦しんだ
黒後 五輪前のリーグ戦から自チームの東レ(当時)で主将を務めて、そこから五輪まで休むことなく戦い続けてきたので、自分の中で体に蓄積されたものがあった。心は頑張りたい気持ちでいるけど、体がついていかなくて、疲れに対してうまく自分で向き合えなかったと思います。
――休養を通じて得たものは
黒後 改めてバレーを楽しめるようになった。休む前も好きだったけど、休んで自分のコンディションと向き合いながら、自分の体と会話しながらペースをつくっていけたので、復帰してから「楽しそうにバレーをしているね」と言ってもらえることも増えた。楽しむことは復帰して、より形にできている。
――昨年秋のパリ五輪予選を現地で観戦した
黒後 観客席から試合やベンチを見たことで、いろんな考え方ができるのは強みだと思う。予選の試合は自分も感激したし、やっている選手が一番悔しいと思うが、その気持ちを分からなくはない立場にいたと思う。だからこそ、代表に復帰できたことに感謝する気持ちがより一層強く持てているし、ここで結果を出したい思いが強いです。
――以前から「木村沙織2世」と言われてきたが、重圧はあったのか
黒後 注目していただけるのはうれしい。取り上げてもらえるのはとてもうれしいことだと思っているので、期待に応えられるプレーをしたい。
――現在は合宿中だが、気分転換は
黒後 休みの日は基本、外に出てリフレッシュしている。普段の生活だと自宅から体育館まで車を運転したりするけど、NTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)にいると移動で外に出ることがない。四季も感じられないぐらい室内にいるので、外に出るようにしています。
――外で何をするのか
黒後 カラオケにはよく行きます。室内だけど(笑い)。フラッと出てちょっと歌って帰るみたいな感じ。(十八番は)聞かれるからあんまり言いたくないのですが…何でも歌うかな。懐メロの方が好きでドリカム(DREAMS COME TRUE)や松田聖子さんとかを歌います。
――VNL、パリ五輪が近づいてきたが
黒後 自分より若いメンバーも多いので、たくさんコミュニケーションを取って、チームのつながりをつくっていきたい。東京五輪を経験しているメンバーも少ないので、自分が経験してきたことを伝えていく役割ができたら。チームとしてはまずはVNLでパリ五輪の切符を取ることを目標にやっている。個人としては、ブロックとアタックは自信を持っているので、力強いプレーをしていきたいです。
――大一番での目標は
黒後 紅白戦が終わったらメンバーが絞られるので、VNLまでメンバーに残って最後まで走り続けられたら「ZOZOTOWN」(衣料品通販サイト)で爆買いすると決めている(笑い)。どれくらい買うかは言えないけど、今はとりあえず入れたいものをカートに入れまくる企画を自分の中でしたい。20着ぐらいかな。カートに入れた服は売り切れにならないので、買う時には選別するつもりです。すいません、しょうもない話をして(笑い)。
☆くろご・あい 1998年6月14日生まれ。栃木県出身。姉の影響で9歳から競技を始める。下北沢成徳高(東京)では、2016、17年と全日本高校選手権で連覇した。17年から東レに入団すると「木村沙織2世」と呼ばれ、18年に日本代表デビューを果たす。21年東京五輪に出場したが、心身のコンディション不良で1シーズン休養。22年栃木国体で復帰し、23~24年シーズンは埼玉上尾でプレーした。180センチ。最高到達点306センチ。