イスラエル軍、ガザ南部で「部隊縮小」と発表 人質解放なしに停戦ありえないとも

イスラエル国防軍(IDF)は7日、イスラム組織ハマスとの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区での態勢について、南部に1旅団だけ残して兵士の数を減らしていると明らかにした。ただ、同地区には「かなりの兵力」が残ると強調した。

IDF報道官のピーター・ラーナー中佐はBBCに対し、「これは戦争努力における新たな段階だ」と語った。

今回の部隊の撤収は、戦闘が終結に近づいていることの表れではなく、むしろ戦術的なものと解釈されている。

こうした中、イスラエルとハマスは7日、新たな停戦交渉に参加する代表団をエジプト・カイロに派遣したと、それぞれ発表した。

昨年10月7日にハマスがイスラエル南部を奇襲し、約1200人を殺害、250人以上を人質に取ってから半年が過ぎた。

イスラエルは、今もガザ地区に残る人質130人のうち少なくとも34人は死亡したとしている。

ハマスが運営するガザ地区の保健当局は、イスラエルが報復攻撃を開始して以降、同地区で3万3000人以上が殺害されたとしている。その大半は民間人だという。

同地区は飢餓寸前の状態が続いている。国際NGOオックスファムはガザ北部から動けずにいる30万人について、1月以降の1日あたりの平均摂取カロリーが245キロカロリーだと報告している。世界食糧計画(WFP)が必要最低限とする1日当たりの摂取カロリーは2100キロカロリー。

「戦闘は終わっていない」

ラーナー中佐は、南部ハンユニスでの任務を完了した部隊が撤収すると述べた。

この数カ月間、IDFの砲撃にさらされてきたハンユニスと周辺地域はほとんど破壊されている。

「戦闘は終わっていない。戦闘が終わるのは彼ら(人質)が帰還し、ハマスがいなくなった時だけだ」とラーナー中佐は述べた。

「部隊は縮小する。しかし、実施する必要のある作戦はもっとある。南部ラファが(ハマスの)活動拠点なのは明らかだ。ハマスの能力がどこにあろうとも、それを解体する必要がある」

米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は、これは「休息と再装備」のようだとし、「必ずしも(中略)これらの部隊による新たな作戦が今後起こることを示唆するものではない」と述べた。

しかし、イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相はその後、部隊は「後続任務の準備」のために移動したと述べた。

ガラント氏は、ハンユニスでの成果は「極めて素晴らしいものだった」とし、ハマスはガザ全域で軍事組織として機能しなくなったと付け加えた。

イスラエルは以前から、100万人以上のパレスチナ人が避難しているラファで地上攻撃を計画していると警告している。

ただ、停戦を求める国際的圧力は高まっている。イスラエルに最も近く、最も強力な支援国のアメリカは4日、ガザでの戦闘をめぐるアメリカの対イスラエル支援を維持できるかどうかは、援助物資の流入強化と民間人の死を防ぐための「明確かつ具体的な措置」にかかっていると警告した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はガザでの戦闘開始から半年を迎えた7日、イスラエルは「勝利まであと一歩」だと述べた。一方で、イスラエル人人質の解放なしに停戦はありえないと主張した。

「この戦闘での成果は相当なものだ。我々はハマスの24大隊のうち、複数の上級指揮官を含む19大隊を排除した」

イスラエルでは6日、多数の市民がネタニヤフ氏に対して、人質解放のための取引を実現するよう求める集会を開いた。

反政府抗議には人質の家族も加わった。

IDFは7日、ハマスの人質となったエラド・カツィール氏の遺体を収容したと発表。この数時間後に、テルアヴィヴなど複数の都市で抗議集会が開かれた。

主催者はテルアヴィヴでは10万人が集まったとしたが、別の集計では4万5000人ほどだったとされる。

7日夕にはエルサレムで数千人規模の抗議行動があった。

(英語記事 Israel's military confirms 'decline in forces' in southern Gaza

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