【皐月賞】前走ホープフルS勝ち馬は文句なしの主役 レガレイラが76年ぶりの快挙へ視界良好

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勢力図は皐月賞後に

最近のクラシックは前哨戦での激突が減ったせいか、皐月賞が終わってはじめて力関係が見えてくることが多くなった。皐月賞から三強対決と騒がれたのはいつが最後だろうか。1~3番人気で決まったのは2013年が最後。この年はロゴタイプ、エピファネイア、コディーノで決まり、人気順通り。ただこの年は三強ではなく、4番人気4着カミノタサハラを含めた4頭が単勝オッズ一桁台で、いわゆる四強の年だった。4着まで順番通りに決まったが、ダービーでは皐月賞1~3着馬が5、2、9着で、京都新聞杯を勝ったキズナが栄光をつかんだ。ダービーまで三強、四強が崩れないという世代はいつまでさかのぼるだろうか。

今年、皐月賞直前のレースを勝ったのは登録馬20頭のうち9頭。トライアル勝ち馬はスプリングSを勝ったシックスペンス以外はみな進んだ。このなかから三強を絞れるか。いや、絞ってはいけないような気もする。おそらく今年も皐月賞終了後に勢力図を描くことになるだろう。データは過去10年分を使用する。

1番人気【2-1-3-4】勝率20.0%、複勝率60.0%は近年の混戦模様を物語る数字だ。1番人気は2勝止まり。皐月賞の人気はちょっとアテにしづらい。2番人気【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%のほかは9番人気【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%まで横並びで、伏兵の台頭も十分ある。最近は大穴激走のシーンこそ減ったものの、馬券妙味はたっぷり。皐月賞は馬券センスを問われるイメージだ。

キャリアの傾向をみると、2戦【1-1-0-7】勝率11.1%、複勝率22.2%から5戦【2-3-1-31】勝率5.4%、複勝率16.2%にかけてきれいに勝率が下がっていく。やはり最少キャリアで皐月賞出走に必要な賞金や権利を獲得した才能は侮れない。回り道をしても1度ぐらいまで。2度、3度と壁にぶち当たるようでは、皐月賞は勝負にならない。

76年ぶりの快挙なるか、レガレイラ

キャリア2戦ビザンチンドリームは新馬、きさらぎ賞と連勝中。ジャスティンミラノも2戦2勝で共同通信杯を勝った。レガレイラは3戦2勝だが、牡馬相手のホープフルS勝ちが輝かしい。この3頭を三強としていいのか。データでひも解こう。

前走GⅠは【2-1-0-4】勝率28.6%、複勝率42.9%。やはりトレンドの「GⅠからGⅠへ」というローテは強い。前走ホープフルSは【2-0-0-2】で、1着馬は【2-0-0-1】。レガレイラは文句なしの主役といえる。だが主戦が離脱し、少しイヤな予感はある。ダービーは2007年ウオッカが勝ったが、牝馬による皐月賞制覇は1947年トキツカゼ、48年ヒデヒカリが最後。76年も前の歴史上の話で、東京で皐月賞が行われていたときのことだ。中山で勝てば史上初の快挙になる。

残る重賞では共同通信杯が【5-0-3-11】勝率26.3%、複勝率42.1%でトライアルを上回る。ここでは2着以内【5-0-2-7】でジャスティンミラノ、ジャンタルマンタルが残り、0.1秒差以上勝ち【3-0-2-3】だとジャスティンミラノのみが浮上する。今年の共同通信杯は前半1000m通過1.02.7と遅く、実質ラスト600m11.4-10.9-10.8の勝負になった。1、2着はともに上がり32.6。4コーナーの位置が勝負を決めた。ジャンタルマンタルがジャスティンミラノを逆転する可能性はあるか。

共同通信杯以外の重賞組に大きな差はない。そこで共同通信杯を含め、前走重賞組の着順別成績をみる。やはり1着【7-7-6-32】勝率13.5%、複勝率38.5%、2着【3-1-1-21】勝率11.5%、複勝率19.2%と連対が必須条件になる。3着以下【0-1-2-51】と逆襲がなくもないが、確率的にはかなり低い。

先に名前があがった3頭以外で前走重賞で連対したのはアーバンシック、アレグロブリランテ、コスモキュランダ、シンエンペラー、ダノンデサイル、ビザンチンドリーム、メイショウタバルの7頭。キャリアが少ない順に並べると、2戦ビザンチンドリーム、3戦アーバンシック、4戦アレグロブリランテ、シンエンペラー、ダノンデサイル、5戦メイショウタバル、7戦コスモキュランダとなる。

結果、レガレイラ、ジャスティンミラノ、ジャンタルマンタル、ビザンチンドリームが有力候補と言えそうだ。はたしてこの四強で決まるだろうか。紹介したデータを踏まえ、じっくり考えよう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。



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