認知症不明者をアプリで捜索 住民らが訓練挑戦 諫早・有喜地区

スマートフォンの画面を見ながら捜索訓練に挑戦する参加者=諫早市有喜地区

 行方不明になった認知症高齢者などの早期発見や保護につなげようと、諫早市有喜地区の住民らがスマートフォンのアプリを活用した訓練に取り組んだ。
 同市は2月、ソフトバンクが自治体向けに提供しているアプリ「オレンジセーフティネット」を県内で初めて導入した。不明者の家族らがアプリで捜索を依頼すると、事前登録した協力者「おかえり協力隊」に、写真や不明となったとみられる地点、協力隊の捜索状況などが共有される。
 訓練は、同地区の民生委員や社会福祉協議会、自治会などでつくるワーキンググループが同市で初めて開催。市や包括支援センター、公民館などが協力し、住民や関係者ら110人が参加した。

スマホ上に表示される捜索対象者の画面見本

 スマートフォンを手にした参加者は、顔写真や他の参加者の場所を確認しながら捜索範囲を絞り込み、不明者発見につなげた。3人1組で、神社など普段人気がない場所にいる高齢者に声をかける訓練もした。
 認知症本人大使「ながさきけん希望大使」の田中豊さんが「声かけの時に警察を呼ぶと言われたら当事者は驚く。本人に気付かれないように、周囲の人に通報の協力を呼びかけるなどしてほしい」などとアドバイスした。
 訓練後の意見交換では「あいさつなどで日頃から信頼関係をつくっておく事が大切」などの意見が寄せられた。住民の堀口宏子さん(58)は「アプリで写真などの情報を共有できるのは画期的。使い慣れるまで何度も訓練を続けたい」と話した。

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