再オープンから1年で撤退 南島原・道の駅「ひまわり」の運営企業 過疎地での経営厳しく 長崎

経営悪化し、新会社に引き継がれた道の駅「ひまわり」=南島原市深江町

 長崎県南島原市深江町の道の駅「ひまわり」を運営していた佐世保市の企業、地頭薗が3月末で撤退し、佐賀市の物流会社アペクシアにひまわりを売却した。ひまわりは営業を継続している。来場者が減り営業を終了した道の駅「みずなし本陣ふかえ」を受け継ぐ形で昨年春に再オープンしたひまわりだが、客足が戻らず、地頭薗はわずか1年で撤退を余儀なくされた。島原半島唯一の道の駅は厳しい状況が続いている。

■再オープン
 「みずなし本陣ふかえ」は、県や旧深江町(現南島原市)が整備して1999年に開業。雲仙・普賢岳噴火災害の学習施設を備えた複合施設として親しまれ、飲食・物販施設を南島原市の第三セクターが経営していた。
 来場者は2002年の89万人をピークに年々減少し、20年は15万2千人に。債務超過に陥り、21年11月に営業を終了した。
 佐世保市で飲食業などを展開する「エバーグリーン」が清算会社から約5500万円で土地・建物を買い取り、道の駅「ひまわり」として昨年4月に再オープン。子会社の地頭薗が管理運営を担っていた。

■関心薄れる
 道の駅は1993年に全国103カ所でスタート。産地直売所などが人気を集めた。今年2月時点で1213カ所に増えているが、ひまわりの経営環境は厳しい。
 みずなし本陣ふかえは、30年以上が経過した噴火災害に対する関心の薄れに加え、2016年の熊本地震、20年以降の新型コロナウイルス禍が重なり不振に陥った。
 昨年は世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の登録5年。構成資産「原城跡」がある南島原市も記念イベントを展開したが、地元の観光関連業者は「期待したほどの効果はなかった」と漏らす。
 再オープンから1年で撤退を決めた地頭薗の地頭薗哲郎代表取締役は「市の関係者から約2億円の売り上げが見込めると聞いていたが、集客力に乏しい過疎地域での経営は予想以上に厳しかった」と落胆する。

■投資負担に
 みずなし本陣ふかえの営業終了は施設の老朽化も原因だった。地頭薗によると、売店やレストランをはじめ施設の改修と修理に約3千万円を投資し、重い負担になった。
 ひまわりの累積赤字は約6千万円に膨らんだ。地頭薗は年間売り上げ目標の1億2千万円は今後も達成できないと判断し、売却に踏み切った。
 ひまわりに商品を納入している市内の業者は「三セクから県内企業が事業を受け継いでもうまくいかなかった。佐賀の会社が経営改善できるのか」と不安げに話す。
 市観光商工課は3日、アペクシア関係者と面談した。「納入業者向けの説明会を早期に実施すると聞いている。道の駅は南島原の玄関口にある人的交流の拠点。市としてもできる限りサポートし、まちのにぎわいを取り戻したい」としている。

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