『走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代』菊池寛実記念 智美術館で 戦後日本の陶芸を牽引した陶芸家集団の活動を検証

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2024年4月20日(土)より、港区虎ノ門の菊池寛実記念 智美術館では、『走泥社再考 前衛芸術が生まれた時代』を開催する。前衛陶芸家集団として、戦後日本の陶芸をけん引した走泥社(そうでいしゃ)の活動を検証する展覧会だ。

1948年、八木一夫、叶哲夫、山田光(ひかる)、松井美介(よしすけ)、鈴木治ら京都の陶芸家によって結成された走泥社は、以後、陶芸家以外にも多様な人材を受け入れながら、50年にわたって活動を続けた。彼らが目指したのは、いわゆる器ではなく、立体造形として芸術性を追求した陶芸作品。当時それらは「オブジェ焼」とも言われた。

鈴木治 「ロンド」 1950 年 華道家元池坊総務所蔵

同展では走泥社の、とくに前衛性が際立つ最初の25年に注目し、前期(4月20日~6月23日)と、後期(7月5日~9月1日)の二部構成で紹介する。

まず前期で扱われるのは、全三章のうちの一章と二章。第一章では、器のかたちを立体造形として自立させようと模索し、パブロ・ピカソの陶芸作品やイサム・ノグチのテラコッタのテラコッタをはじめとした海外の美術表現に影響を受けた最初期の作品に焦点を当てる。また第二章では、「陶のオブジェ」を心象風景の表象と考えていた彼らが、自らの内面性をいかに陶芸で表現しようとしたかに注目する。この時期は前衛陶芸家集団としての走泥社の骨格が定まった時期としても重要だ。

山田光 「二つの口の壺」 1952 年 岐阜県現代陶芸美術館蔵

そして後期に紹介する第三章では、同人たちの充実期の作品を紹介。1964年、『現代国際陶芸展』で、初めて海外の陶芸表現をまとめて見る機会を得た作家たちは、素材から表現方法まで、あらゆる面で海外との違いに衝撃を受け、あらためて独自の表現を追求、さらなる高みを目指したのだった。

講演会や学芸員によるギャラリートーク、ナイトミュージアムの催しなど、関連行事も予定されている。詳細は美術館ホームページで確認を。

<開催概要>
『走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代』

前期:2024年4 月 20 日(土)~6 月 23 日(日)
後期:2024年7 月 5 日(金)~9 月 1 日(日)
会場:菊池寛実記念 智美術館
時間:11:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜(4月29日、5月6日、7月15日、8月12日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)、5月27日(月)~5月30日(木)、6月24日(月)~7月4日(木)、7月16日(火)、7月29日(月)~8月1日(木)、8月13日(火)
料金:一般1,100円、大学800円、高中小500円
公式サイト:
https://www.musee-tomo.or.jp/

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