北海道→福岡にゴルフ留学 阿部未悠が幼少期に下した大きな決断

家族とともに優勝トロフィーを掲げる阿部未悠(撮影:鈴木祥)

<富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 最終日◇7日◇石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇6535ヤード・パー72>

今大会で初優勝を手にした阿部未悠は10歳からゴルフを始めた。父・敏春さんの影響でクラブを握るとすぐに夢中になった。北海道恵庭市出身で、冬には吹雪だろうが、どれだけ寒かろうが、母・早苗さんともに毎日練習場に向かった。「1日中練習していたので、そういった面では練習量や根性は鍛えられたと思います」と当時を振り返る。

そこから2年。練習に励むもベストスコアは80台中盤。プロになりたいという夢を持っていた少女は、思うように練習できないことにもどかしさを抱くようになる。「沖縄に家族旅行を兼ねてラウンドに連れていってもらったりだとか、ゴルフ合宿の時も、芝に慣れた時に帰らなければいけないという事実が自分的には大きかった」。そして大きな決断を下した。

「両親にどうしても道外の中学に行きたいと話をして協力してもらった」。中学進学のタイミングで、福岡にゴルフ留学をすることを決断。「本当に行くの? って心配だったけど、本人の気持ちが強かった」と話す母・早苗さんと2人で福岡へ移り住み、ゴルフ漬けの毎日を送った。

福岡で初めて80台の壁を越え、高校1年生のときには「九州高等学校ゴルフ選手権新人戦」で優勝。徐々に結果が表れ始めた。「私よりも不安だったと思うけれど、協力してくれてついてきてくれた母には感謝ですし、そういう環境を用意してくれた父にも感謝しています」。

2021年6月のプロテストに合格し、苦労をともにした母と抱き合いながら喜んだ。そして、その3年後に迎えた“歓喜の瞬間”。家族で掴んだツアー初優勝だった。(文・神吉孝昌)

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