井浦新、『光る君へ』での“独裁者”ぶりに「いよいよ自分の時代」 弟・道兼への複雑な思いも

吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー動画「君かたり」が公開されている。第14回「星落ちてなお」の放送後には、いと役の信川清順、藤原道隆役の井浦新、そしてまひろ役の吉高由里子が登場した。

第14回で道隆(井浦新)は、兼家(段田安則)亡き後、独裁を始める。態度こそ傲慢には映らないものの、演じている井浦の佇まいからはこれまで秘められてきた野心があらわになるような雰囲気が感じ取れる。井浦はインタビューの中で、道隆が兼家の後継者に指名されたことについて、「家督は道隆にするっていうことばがきたときは、いよいよ自分の時代が訪れるんだっていうそういう思いに火がつく瞬間でしょうね」「いよいよ自分なりの政を始められるんだっていう火がつけられるところ、のろしが上がるところだろうなとは思いました」と答えている。

弟・道兼(玉置玲央)が人を殺した事実を知る場面については、知らなかったことに驚きはあったと思うと答えた上で、道隆にもずるさはあり、「弟が全部そういうところを背負っているのはもちろん知っていて、そこは見ないふりして全部任せていたっていうこともあっただろうなって」「申し訳なさとか、そこはお前に任せたよっていう思いだったりとか、一つ2つの感情だけじゃないなとは思いました、あのシーンは」とコメントした。

SNSでは、2012年度放送のNHK大河ドラマ『平清盛』で井浦が演じていた崇徳院と重ね、「井浦新さんが、崇徳さん時代に成し得なかった政を、12年後に藤原道隆として独裁政権で手に入れるの、胸アツ」「崇徳上皇、満を持してようやく自分の政を。独裁ですがね」「井浦道隆が独裁するの、平清盛のときの崇徳上皇が個人的に超トラウマになってたから、短期でも権力を手中におさめられる役でちょっとうれしかったりする」などの声が見られた。

第14回でいとまを申し出たいとは、為時(岸谷五朗)やまひろの真面目さとは打って変わって感情豊かだ。そんないとについて信川は「明るくするというよりはちょっとひっかき回すじゃないですけど、いいも悪いも家族にぐぐっと詰め寄ったり、見守ったりができたらいいなと思っております」と語る。

また、いとが溺愛してやまない惟規(高杉真宙)と為時に対する信川のコメントはチャーミングだ。惟規について問われた信川は「高杉真宙さんがもうすでにかわいい」「とってもかわいらしい性格とかわいらしいお顔で、いとは溺愛しております」とコメント。信川の言葉は、惟規の乳母であるいとの愛情をそのまま体現するかのようだ。

いとまを申し出るシーンについては、「絶対こんなこと言いたくないけど、本当に少しでも食いぶちを減らさなければ、私がいたら見るだけであつかろうみたいな感じだったと思うんですけど、それはすごくつらくて、しかも殿様(為時)のことめちゃめちゃ好きなので」と、笑いながらもいとの心情を語った。為時たち家族との暮らしはいとにとってかけがえのないものであることは、信川が見せるコミカルながらも素直な感情表現からひしひしと伝わってくる。信川は「殿様にきょう引き止めてもらえてよかったです。ありがとう殿~!」と茶目っ気たっぷりに締め括った。

なお、SNSではいとの言動がくすっと笑えると話題に。いとの存在が劇中に漂うシリアスな空気をふっと軽くしてくれることから「乳母のいとさん、ちょっとクスッとさせてくれるところが 『源氏物語』における近江の君みたいなポジションだな。 多分こういうほっとできるキャラクターがないと物語が息苦しくなっちゃうってわかってたんだよね紫式部」「いとさんみたいな立ち位置は潤滑油のような役割をしているのだなと思った」などの声があがっていた。また為時にいとまを申し出る場面での演技については「乳母だけどもう、本当の家族以上にこの家族を愛しているのが伝わりますね」といった声があがっている。

(文=片山香帆)

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