【J2「劇的」】仙台、FW中山の反転ゴールで追いつくも5試合目ドロー 守備の整備から攻撃へ――期待される次の段階(2)

同点ゴールを決めた仙台FW中山仁斗  撮影/中地拓也

■前節初黒星の仙台はリスタートの一戦に

勝ちきれ、ない。

J2リーグ第9節が4月7日に行なわれ、7位のベガルタ仙台は17位の藤枝MYFCとのアウェイゲームに挑んだ。昨年までU-17日本代表を指揮した森山佳郎監督が先頭に立つ仙台は、ここまで3勝4分1敗だ。愛媛FCに逆転負けを喫した前節から、中3日でチームを立て直せるかどうかがポイントだ。

森山監督は前節からスタメンを5人入れ替えた。スタメンに復帰した選手では、MF相良竜之介がキーマンにあがってくる。藤枝は3-4-2-1のシステムを採用しており、2列目左サイドの相良が3バックの脇のスペースを使うことで、相手の目線をズラしたり、守備の網を広げることができる。同サイドの相手ウイングバックを、守備へ引き戻すことにもつながる。

しかし、攻撃の狙いを表現する前に、藤枝に先制点を許してしまう。26分、ビハインドを背負った。

前半の終盤は両サイド深くのスペースを突いた。右SB高田椋汰が3バックの背後を突き、ゴール前へ侵入する。相手守備陣が内側を締めたところで、外のスペースを使う。0対1だが得点の予感を漂わせながら、仙台はハーフタイムを迎えた。

■FW中山のゴールで同点とするが…

仙台は前半の勢いをそのまま後半に持ち込み、立ち上がりの51分に同点に追いつく。中島元彦の右CKは相手DFにクリアされるが、セカンドボールを相良が収める。背番号14がゴール正面から右足を振ると、ゴール前のFW中山仁斗がボールを収め、DFを背負いながら反転してゴールへ蹴り込んだ。中山は2試合ぶりの得点でシーズン3ゴール目だ。

同点に追いついたあとも、仙台は敵陣でのプレー時間を増やしていく。ダブルボランチのMF長澤和輝とMF工藤蒼生が、ボールを配球しながら前線に関わり、中島ら2列目の選手がピッチの横幅を広く使うことで、攻撃の回数を増やしていくのだ。

森山監督は65分に2枚替えをする。中島と中山を下げ、MF鎌田大夢とFWエロンを送り出す。この交代でチームにさらなる勢いをもたらしたいが、逆に藤枝に押し込まれる。森山監督は77分に工藤からMF松井蓮之にスイッチする。ボールを動かしながら自身もゴール前へ飛び出せる松井の登場で、ゲームをコントロールする狙いだ。

しかし、選手交代で局面を打開したいのは藤枝も同じだ。時間の経過とともに少しずつオープンな展開になり、仙台のゴール前まで迫られる場面も出てくる。森山監督は85分にMF名願斗哉とMFオナイウ情滋を投入する。2列目の両サイドを代えて2点目を狙うが、決定的なシーンを作り出すには至らない。1対1のまま終了のホイッスルを聞いたのだった。

仙台はここまで9試合を終えて8得点だ。複数得点は2試合にとどまる。就任1年目の森山監督のもとで守備を整備したシーズン序盤を経て、そろそろ攻撃の迫力を高めていく必要がある。

ここからはJ1昇格候補との直接対決が続く。次節はモンテディオ山形との「みちのくダービー」で、20日の10節は清水エスパルスとのアウェイゲームだ。さらにはジェフユナイテッド千葉とのホームゲームが待つ。仙台にとっては今シーズン最初の正念場だ。

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