暴力拡大、ハイチ政権移行進まず 首相辞意表明から1カ月

ハイチの首都ポルトープランスで警戒に当たる警察の装甲車=2日(AP=共同)

 治安が極度に悪化するハイチで首相が辞意を表明し、政権移行に向けた評議会の設立が決定して11日で1カ月となる。メンバー選定が難航して評議会は発足できず、その間にギャングの暴力が拡大。治安回復の糸口は見つかっていない。

 3月11日、ハイチも所属するカリブ海諸国の地域共同体「カリブ共同体」(カリコム)は緊急会合を開き、暫定政権の樹立や選挙実施に向けた対応を協議する評議会の設置を決めた。決定に伴い、ハイチのアンリ首相は辞意を表明した。

 当初は一両日中に評議会が設置されるとの見通しもあったが、ギャングによる候補への脅迫、政党間の意見不一致などで人選が進まなかった。治安回復に向け、国連安全保障理事会決議に基づく多国籍部隊派遣が期待されるが、評議会設置を待っている状態だ。

 一方、ギャングは勢いを増している。首都ポルトープランスの8割を支配しているとされ、国連によると、ギャングの暴力で昨年1年間に4451人が死亡。今年は3月22日までの3カ月弱で既に死者が1554人に達した。性暴力や誘拐もまん延している。

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