スマート抹茶マシン、無形文化遺産「径山茶」の継承に一役 中国浙江省

スマート抹茶マシン、無形文化遺産「径山茶」の継承に一役 中国浙江省

3月30日、「2024年径山禅茶品評試飲会」で披露されたスマート抹茶マシン。(杭州=新華社配信)

 【新華社杭州4月8日】中国浙江省杭州市余杭区にある径山(きんざん)寺でこのほど、2024年径山禅茶品評試飲会が開催された。スマート抹茶マシンの最新試作機も登場し多くの注目を集めた。

 同区で文化・観光などを手掛ける杭州余杭文化旅游投資集団の副総経理で同集団子会社、杭州径山茶発展の董事長でもある施鴻鑫(し・こうきん)氏はマシンについて「抹茶1杯を入れるのにかかる時間はわずか2分、ミルクを加えれば抹茶ラテにもなる。径山茶の継承と普及に新たな『武器』ができた」と紹介した。

スマート抹茶マシン、無形文化遺産「径山茶」の継承に一役 中国浙江省

3月30日、浙江省杭州市余杭区にある径山寺で開かれた「2024年径山禅茶春の茶摘み開始式」。(杭州=新華社記者/許舜達)

 同寺で唐代に始まった茶会「径山茶宴」は宋・元時代に盛んになり、その後日本に伝わると日本の茶道の源流となった。2011年に第3次国家級無形文化遺産リスト、22年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。「点茶(抹茶)」と呼ばれる古くから伝わる茶の作法は径山茶宴の核となる部分で、この貴重な文化遺産をどのように継承し普及させていくかは、地元の茶人や製茶企業にとって長年の課題だった。

 「実はアイデアは以前からあった」と施氏は語る。同社は22年初めに国内コーヒーマシン大手の万事達(杭州)珈琲機に抹茶マシンのアイデアを打診、双方は意気投合し研究開発を始めたという。約2年を費やし杭州径山茶発展はスマート抹茶マシンの開発に成功。マシンに茶粉カプセルを入れるとミルクを自動で加え、きめ細かい泡と程よい濃さの抹茶ができる。

スマート抹茶マシン、無形文化遺産「径山茶」の継承に一役 中国浙江省

3月29日、浙江省杭州市余杭区にある径山古鐘茶の工場で茶葉を加工する従業員。(杭州=新華社記者/許舜達)

 施氏は同社が抹茶の原料を茶館や茶店、ホテルに販売する際、抹茶マシンを無料で貸し出すシェアリングモデルを採用することで、径山茶の宣伝と無形文化遺産の積極的な普及につなげたいと考えている。

 「若者がお茶を楽しむ行為は巨大な市場となっている。スマート抹茶マシンは伝統的な径山茶を継承する新しい試みであり、抹茶が『東洋のコーヒー』になることを願っている」と施氏は語った。(記者/許舜達)

© 新華社