全国企業倒産集計2024年3月報 倒産件数は870件、過去10年で最多

概況・主要ポイント

1.倒産件数は870件(前年同月800件、8.7%増)と、23カ月連続で前年同月を上回った。過去10年間で最多だった2014年4月(858件)を超えた

2.負債総額は1320億500万円(前年同月1435億1400万円、8.0%減)と、2カ月連続で1000億円を超えたものの4カ月ぶりに前年同月を下回った。負債トップは、衛生管理システム製品の企画をしていたテックコーポレーションの191億9400万円だった

3.業種別にみると、7業種中5業種で前年同月を上回った。『建設業』(前年同月155件→175件、12.9%増)は2014年7月(184件)以来の高水準。『サービス業』(同197件→202件、2.5%増)も、3月としては2010年(206件)以来13年ぶりに200件を超えた

4.主因別にみると、『不況型倒産』の合計は699件となり、23カ月連続で前年同月を上回った

5.態様別にみると、「特別清算」は23件発生し、4カ月連続で前年同月を上回った

6.規模別にみると、負債「5000万円未満」(520件)が最多。資本金「個人+1000万円未満」(624件)は全体の7割を占めた

7.業歴別にみると、「30年以上」が最多。『新興企業』は25カ月連続で前年同月を上回った

8.地域別にみると、9地域中6地域で前年同月を上回った。『四国』(前年同月12件→23件、91.7%増)は、3年9カ月ぶりに20件を超えた。『東北』(同40件→53件、32.5%増)は2カ月連続で50件を超えた

■業種別

7業種中5業種で前年同月を上回る 『建設業』は9年8カ月ぶりの高水準

 業種別にみると、7業種中5業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月197件→202件、2.5%増)が最も多く、『小売業』(同164件→193件、17.7%増)、『建設業』(同155件→175件、12.9%増)が続いた。『建設業』は、2014年7月(184件)以来9年8カ月ぶりの高水準となった。『サービス業』は3月としては2010年(206件)以来13年ぶりに200件を超えた。増加率でみると、『運輸・通信業』(同37件→48件、29.7%増)が最も高く、3カ月ぶりに40件台で推移した。

 業種を細かくみると、『運輸・通信業』では、ドライバー不足や燃料高に直面している「道路貨物運送」(前年同月25件→32件)が増加した。『卸売業』では、「機械器具卸売業」(同10件→27件)が倍増した。

■倒産主因別

『不況型倒産』は699件、23カ月連続で前年同月を上回る

 主因別にみると、「販売不振」が688件(前年同月617件、11.5%増)で最も多く、全体の79.1%(対前年同月2.0ポイント増)を占めた。内訳を業種別にみると、「小売業」(前年同月140件→169件)が最も多く、「サービス業」(同144件→154件)、「建設業」(同115件→138件)が続いた。「売掛金回収難」(同2件→5件、150.0%増)などを含めた『不況型倒産』の合計は699件(同625件、11.8%増)となり、23カ月連続で前年同月を上回った。

 「経営者の病気、死亡」(前年同月25件→30件、20.0%増)と「放漫経営」(同9件→14件、55.6%増)は2カ月連続で前年同月を上回った。「その他の経営計画の失敗」(同38件→34件、10.5%減)は5カ月ぶりに前年同月を下回った。

※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■倒産態様別

『清算型』は839件、「破産」は9年8カ月ぶりに800件超え

 倒産態様別にみると、『清算型』倒産の合計は839件(前年同月779件、7.7%増)となり、全体の96.4%(対前年同月1.0ポイント減)を占めた。『再生型』倒産は31件(同21件、47.6%増)発生し、10カ月ぶりに30件台で推移した。

 『清算型』では、「破産」が816件(前年同月760件、7.4%増)で最も多く、2014年7月以来9年8カ月ぶりに800件を超えた。「特別清算」は23件(同19件、21.1%増)発生し、4カ月連続で前年同月を上回った。

 『再生型』では、「民事再生法」が31件(前年同月20件、55.0%増)発生した。個人が17件、法人で14件発生した。

■規模別

負債「5000万円未満」が最多 「100億円以上」が2カ月連続で発生

 負債規模別にみると、「5000万円未満」が520件(前年同月449件、15.8%増)で最も多く、「5億円未満」が180件(同156件、15.4%増)で続いた。中小・零細企業の倒産が目立つ一方、「100億円以上」が2カ月連続で1件(同1件)発生した。

 資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が624件(前年同月538件、16.0%増)となり、全体の71.7%を占めた。

■業歴別

業歴「30年以上」が最多 『新興企業』は25カ月連続で前年同月を上回る

 業歴別にみると、「30年以上」が274件(前年同月276件、0.7%減)で最も多く、全体の31.5%(対前年同月3.0ポイント減)を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は6件(同10件)と8カ月ぶりに前年同月を下回った。

 業歴10年未満の『新興企業』[「3年未満」(前年同月33件→32件、3.0%減)、「5年未満」(同46件→62件、34.8%増)、「10年未満」(同136件→190件、39.7%増)]は284件(前年同月215件、32.1%増)と、25カ月連続で前年同月を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同61件→82件、34.4%増)が最多、「小売業」(同50件→68件、36.0%増)、「建設業」(同52件→61件、17.3%増)と続いた。

■地域別

9地域中6地域で前年同月を上回る 『四国』は3年9カ月ぶりに20件超え

 地域別にみると、9地域中6地域で前年同月を上回った。最も増加率が高かったのは『四国』(前年同月12件→23件、91.7%増)で、3年9カ月ぶりに20件を超えた。次いで、『東北』(同40件→53件、32.5%増)は2カ月連続で50件を超えた。

 件数別では、『関東』(前年同月292件→304件、4.1%増)がトップ。「埼玉」(同26件→39件)で増加が目立った。このほか、『近畿』(同178件→227件、27.5%増)は「大阪」(同99件→115件)、「兵庫」(同41件→59件)で大幅に増加、全体の件数を押し上げた。一方、「三重」(同18件→9件)の減少が目立った『中部』(同119件→106件、10.9%減)は前年同月を下回ったものの、4カ月ぶりに100件を超えた。

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