弟がいたのに「身寄りない」遺体を火葬 京都市「荼毘を優先」過去の戸籍たどらず

京都市役所

 京都市が2022年1月、伏見区で1人暮らしをしていた男性(当時73歳)が亡くなった際、市内に親族が住んでいたにもかかわらず、身寄りがないと判断し、火葬、納骨していたことが分かった。過去の戸籍をたどらず、親族の有無を確認しきれていなかったことが原因。

 伏見区役所醍醐支所によると、男性は22年1月6日に病院で亡くなり、同支所が戸籍を調べた結果、存命中の親族がいないと判断した。14日に火葬し、29日に市営深草墓園(同区)に納骨した。実際は戸籍から抜けている弟が伏見区に住んでおり、男性が過去に本籍を置いていた他自治体に残る戸籍には関係が掲載されていた。弟側から昨年11月に市に連絡があり、同支所が今年3月に謝罪したという。

 市は当時、遺体の引き取り先の調査について共通指針を持っていなかったが、昨年8月から父母やきょうだいなどの有無が確定できるまで調査するようマニュアルで定めた。同支所は「速やかに荼毘(だび)にふすことを優先し一定の日数の調査にとどめた。今後は確認を徹底する」としている。

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