それぞれ大学の入学式で祝辞を述べた世耕弘成氏（左）と川勝平太氏（右 写真・時事通信）
4月6日、自民党派閥パーティー収入の裏金事件で、党から離党勧告を受けて離党した世耕弘成・前党参院幹事長が、理事長を務める近畿大の入学式に出席。新入生に向け、「変化の激しい社会で自分の立ち位置をしっかりと把握してもらい、立派な社会人として近畿大を巣立っていただきたい」と祝辞を述べた。政治資金収支報告書への不記載に言及することはなかった。
近大内では、教職員有志が3月下旬、世耕氏の理事長辞任を求める署名活動を、署名サイト「Change.org」で開始。4月8日現在、4万1000票を超える賛同が集まっているが、世耕氏は「政治活動とは関係ない」として、続投の意向を示している。
世耕氏が、理事長を務める近大で祝辞を述べたことに、立憲民主党の蓮舫参院議員は同日、自身のXでこうツッコんだ。
《ご自身の立ち位置が見えていない方に言われても…》
SNSではほかにも、世耕氏が祝辞を述べたことに“失笑”する声が多くあがっている。
《あれほど「裏金」を作った挙句「違法寄付」疑惑まで露見している中、議員を辞めようともしない人物が一体どの口で言うのか。立ち位置を把握すべきなのは世耕氏》
《よく行けるよなぁ～どんな神経しとるんぢゃ？ 「この度,裏金で離党された世耕さまです」って紹介されたんか？ こういうのを厚顔無恥って言うのよなぁ～》
《よく恥ずかしくもなく出席して祝辞が言えるもんだ。人間の感覚が裏金で麻痺しているのだろうか》
一方、前日の4月5日には、不適切発言で批判を浴び、辞職する意向を示した静岡県の川勝平太知事が、かつて学長を務めた静岡文化芸術大学の入学式に出席。新入生に、こう祝辞を述べた。
「人の役に立つ、社会の役に立つような立派な人間になる、その学びの4年間になりますよう、あるいは数年間になりますよう、心からご祈念申し上げまして、お祝いまたは門出へのはなむけの言葉といたします。みなさまおめでとうございました、グッドラック」
こちらも、自らの辞職についての言及はなし。そして川勝知事の祝辞にも、SNSでは“失笑”があがっている。
《恥も外聞もなくすっげえメンタルしてんな》
《いくら元学長だからって…いくら事前に頼んであろうと、こんな時にあの人に喋らせるかねぇ…静岡の体質だと思われると嫌だわ》
《ご本人は、社会の足をひっぱったのに……》
世耕氏が、理事長を務める近大で祝辞を述べたことに、ジャーナリストの江川紹子氏は4月6日、自身のXに《学生や保護者はどんな気持ちで聞いたのかな…》と書き込んだ。たしかに、この2人から祝辞を述べられた新入生と保護者は、たまったものではないだろう。
