食費の節約になるから一石二鳥? 食べないダイエットのリスク

脂肪を落とすには摂取カロリー < 消費カロリー にする

「物価も上がってきているし、家計のために食費を減らそう。しかも、食べなければ痩せられる!」と考えている皆さん、ちょっと待って!

まずは、痩せるメカニズムについて基本をおさらいしてみましょう。

痩せたいと考えている人の多くは、体についた“脂肪”を落としたいと考えているでしょう。この脂肪を1kg分落とすのに、およそ7200kcalを消費する必要があるとされています。

そのため、食事などで体に取り入れたカロリーよりも、日常生活や運動等で消費したカロリーが大きくならないといけません。この点で“食べない“ということは、体に取り入れるカロリーを大幅に減らすことになるので、カロリーについてはマイナスにもっていきやすくなります。

人間は生きているだけでカロリーを消費します。これは“基礎代謝”と呼ばれます。厚労省の「e-ヘルスネット」によると、30代男性の平均的な基礎代謝は1530kcal、30代女性の場合は1150kcalになります。何も活動をしなくても、1日にこの程度のカロリーは消費されるということです。

例えば、1日の食事をゼリー飲料だけにして、摂取カロリーを100kcalほどに抑えれば、1週間でマイナス7000kcalとなります。1週間でおよそ1kgの脂肪を減少させることができる計算です。

ただし、人間の体には脂肪だけでなく、当然ながら筋肉や骨もあります。

栄養不足は脂肪だけでなく筋肉も減ってしまう

食べないダイエットの1番のリスクは、栄養不足から筋肉まで減ってしまうことにあります。筋肉が減ると、体はメリハリがなくなります。さらに基礎代謝まで減ってしまい、痩せにくくなります。また、体力もなくなり疲れやすい体になります。

筆者も経験があります。食事をしないと、「体重」はみるみる減っていきます。1日で1kg近く減ったこともありました。しかし、それは体脂肪が減ったのではなく、体の中の水分や筋肉など、健康的に生きていくうえで必要なモノも一緒に減っているのです。

ダイエットをする際は、筋肉量を維持したまま脂肪を減らすようにしましょう。そのためにも、最低限の食事は必ず行い、体に必要な栄養は取り入れましょう。特にタンパク質は筋肉に必要な栄養素です。ダイエット時は肉が高カロリー食品として敬遠され、結果としてタンパク質は不足しがちなので、意識して取り入れていくのが良いでしょう。

食費を抑えてダイエット、でも必要な栄養を摂りながら健康的に痩せよう

無理な食事制限を行うと、一時的に体重が減ったとしても体調を崩したり、痩せにくい体になったりします。また、人によってはストレスもたまるでしょう。その結果、リバウンドしてしまった、体調を崩して通院を余儀なくされたりしては、ダイエットに取り組んだ苦労が報われません。

また、「物価が高騰しているから食費を減らしたい」と、食べる量を極端に減らして食事代を節約できたとしても、無理な食事制限により体を壊し、入院や通院をすることになってしまったら、その費用により、これまで以上に家計を圧迫することにもなりかねません。

「食べないダイエット」は、一見節約しながら体重を減らせる良い方法に見えるのですが、お金をかけるべきところはかけて、栄養を取りつつ健康的なダイエットを心がけましょう。

出典

厚生労働省 e-ヘルスネット 加齢とエネルギー代謝

執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表

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