“女性版ステフィン・カリー”がアイオワ大でのキャリアに終止符…WNBAの舞台へ

アイオワ大学のケイトリン・クラークは、女子バスケットボール界に多大な功績を残して、大学でのキャリアに幕を下ろした。

“女性版ステフィン・カリー”の異名を持つポイントガードは、NCAAWトーナメントの決勝まで駒を進め、4月9日(現地時間8日)にサウス・カロライナ大学と激突。試合は75-85で惜しくも敗れ、悲願のタイトル獲得は叶わなかった。

それでも、クラークの表情には笑顔があった。試合後の会見では自身とチームがやり遂げてきたことを誇り、晴々しく別れを告げた。

「ファンのサポート、故郷を代表できたこと、家族が毎試合応援してくれたこと。これまでの道のりについて、私の心の中に後悔はありません。全国大会優勝を逃しても、私は毎晩眠りにつくことができます。実現できなかったことを悔やんでここに座ってはいません。母はいつも私に『頭を高くし、成し遂げたことをすべて誇りに思いなさい』と教えてくれました。同時に、私はもっとたくさんのことに大きなハングリー精神を抱いています」

ここに彼女が築き上げた偉業を記しておきたい。クラークが大学で挙げた通算3951得点は、NCAA D1(1部リーグ)の男女通算最多得点記録である。また、3000得点、1000アシストを記録した唯一のDI女子選手であり、他の通算スタッツは990リバウンド1144アシストをマーク。また、今シーズンの通算1234得点、キャリア平均28.42得点はいずれもD1の単一シーズン記録となり、今シーズンに成功させた201本の3ポイントシュートはステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)が所持していたレコードを塗り替えた。

全国タイトルこそ、サウス・カロライナ大に譲ったが、クラークの活躍と貢献には敵将のドーン・ステーリーヘッドコーチも優勝の雛壇から惜しみない賛辞を送った。

「アイオワ大の素晴らしいシーズンを心から祝福したいです。そして、私たちのスポーツを盛り上げてくれたケイトリン・クラークに、個人的な感謝の言葉を送ります。彼女は、私たちのスポーツを押し上げ、大きな責任を背負ってくれました。彼女の旅路は大学のツアーで終わることなく、彼女がWNBAのドラフトで1位指名されれば、リーグも引き上げられるでしょう。ケイトリン・クラーク、あなたは私たちのゲームの“GOAT”(史上最高)の1人です」

クラーク在籍前にアイオワ大学がファイナル4に進出したのは、1993年にまで遡る。しかし、彼女を擁する同校は2度もベスト4に到達し、2023年は優勝を譲ったサウス・カロライナ大学を破り、ラストシーズンはエンジェル・リース率いるルイジアナ州立大学(LSU)にもリベンジを果たした。決勝のカードは前例のないほど注目を集め、チケットサイトの転売価格は最安値で555ドル(約8万4000円)、ベンチ裏は4000ドル(約60万7000円)という記録的なものとなった。

そんなクラークには、大学生活の感傷に浸る時間はない。なぜなら、16日(同15日)にはWNBAドラフトが控えているからだ。約5週間後にはプロ生活が始まることとなるが、すでに覚悟はできているようだ。

「ファイナル4でプレーするより、人生の次のステップに向けてトレーニングし、準備をするよりいい方法はありません。もうすぐ自身初のWNBAの試合に臨めるのです。この瞬間は、私が人生の次の舞台に備える上で役立つはずです」

女子バスケ界の新スターは、プロのコートでも躍動するに違いない。予想どおりの1位指名となれば、行き先はインディアナ・フィーバーとなるだろう。

クラークは故郷に数々の伝説を刻み、次なる世界へ飛び立とうとしている。

文=Meiji

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