ウイリアムズ育成13歳の松井沙麗。18歳でSF参戦のJujuは「尊敬する存在で目標」/F1日本GP

 4月5〜7日に鈴鹿サーキットで開催された2024年F1第4戦日本GPのパドックには、2024年よりウイリアムズの若手ドライバー育成プログラムである『ウイリアムズ・レーシング・ドライバー・アカデミー』に所属する13歳の女性ドライバー松井沙麗の姿があった。

 2010年生まれの松井は、5歳でレーシングカートを始めると、以降JAF全日本ジュニアカート選手権や、GPR KARTING SERIES等の国内のカートレースに参戦してきた。

 2022年にはFIAウーマン・イン・モータースポーツ委員会が推進し、12歳から16歳の女性を対象とした育成プログラム『FIAガールズ・オン・トラック-ライジングスターズ』のファイナリストに選ばれると、2023年はホンダ・レーシング・スクール鈴鹿(HRS)カートクラスを受講。そして2024年シーズンはウイリアムズの若手ドライバー育成プログラムである『ウイリアムズ・レーシング・ドライバー・アカデミー』に所属することになった。

 F1日本GPを訪れていた松井に、改めてウイリアムズ育成への加入の背景を聞いた。2022年にFIAガールズ・オン・トラック-ライジングスターズのファイナリストに選ばれた4名のうち、松井はどのドライバー育成プログラムにも加入のない、フリーの立場にあった。

 そんななか、「ウイリアムズ・レーシングから『一度ヨーロッパでレースをしてみないか』というメールをいただき、そこからお話を進めて、今年から育成ドライバーとして加わることになりました」と松井。

 先述のとおり、国内のカートシリーズに参戦していたため、ウイリアムズからのオファーまでは海外でのレース経験はなかった松井。しかし、その時点では不安や迷いはなかった。

「ヨーロッパでレースがしたかったので、『すぐ行きます!』といった感じでした」

 ウイリアムズ育成入りにより、ヨーロッパでの活動が急速進むこととなったが、それに伴い、プレッシャーもまた急速にのし掛かることとなったと、正直な思いも口にした。

「ウイリアムズの育成ドライバーになった直後はプレッシャーが大きくて、きちんとレースできるのかなと不安になったこともありました」

 なお、日本GPではウイリアムズのスポーティングディレクターであり、育成プログラムを率いるスベン・スミーツと今後参戦するレースを決定するべく、話し合いが行われたという。

「できるレースはなんでも頑張っていきたい」と語った松井。そんな松井に将来の目標を尋ねると、「(最大の目標として)F1には乗りたいですけど、今の私の一番の目標はF1アカデミーでタイトルを獲ることです」と語った。

「F1アカデミーでチャンピオンになれば、そこから道が開けると思いますし、そこからF1だったり、インディカーなどにも乗れたらいいなと思います」

 13歳の松井はF1と同時に、インディカーも将来へ向けた可能性として口にした。その理由は、HRSのカートクラスを受講した松井の恩師にあたり、憧れの人物の影響だ。

「HRSの佐藤琢磨プリンシパルは私の憧れです。それに、普通にインディカーというレースが好きなので、チャンスがあればインディカーに乗ってみたいと考えています」

 また、松井は同じく女性で、今季は国内トップフォーミュラである全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦する18歳のJujuについて、尊敬の念を抱いていると語った。

「国内最高峰のフォーミュラで戦い、開幕戦では完走されました。同じ女性ドライバーとして、今は尊敬する存在でしかないですが、私もJuju選手を目標にして、さらに上に行きたいなと思います」

 ウイリアムズ・レーシング・ドライバー・アカデミーはランス・ストロール、ニコラス・ラティフィ、ローガン・サージェントといったドライバーをF1に送り出している。同プログラムの最年少メンバーとして加わった松井は、これからどのような戦いを見せてくれるのだろうか。今後の活躍に期待したい。

ホンダレーシングサンクスデー2023の前日に行われた、角田裕毅と岩佐歩夢のカート特別講習会の様子。デモレースでは、松井が背後から迫りくる角田を抑えて優勝した
新たにウィリアムズ・レーシング・ドライバー・アカデミーに加入した松井沙麗

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