郵便料金が改訂になる見込みです
2024年の秋以降に郵便料金の値上げが予定されており、はがきは現行の63円が85円に、封書は現在25g以下が84円、50g以下は94円と重量により料金が決まりますが、統一された上で110円となる予定です。 はがきについては2017年の52円から62円への値上げののち、2019年の消費税増税で現行の63円となりましたので約7年ぶりの改定です。しかし封書は、消費税増税での改定を除き、1994年以来実に30年ぶりの改定となります。
封書が30年値上げされなかった理由は?
はがきは数年前にも改訂されているのに、封書はなぜ30年も値上げされなかったのでしょうか。その理由は、25g以内の定形郵便物(*1)は国民の負担や物価を考慮し、上限額は84円と郵便法(23条)に規定されていることにあります。そのため現行84円の封書を値上げするには、郵便法を改正する必要がありました。 改正案は2024年3月7日に総務相の諮問機関である郵政行政審議会で承認されましたので、秋には封書を含めた郵便料金の値上げが行われる予定です。 *1:定形郵便物とは、縦23.5cm、横12cm、厚さ1cm、重さ50gまでの郵便物を指します
値上げの背景には郵政事業の不振があります
今回の郵便料金値上げの背景には、日本郵便株式会社の郵便事業の不振があります。2022年度の郵便事業の営業損益は「▲211億円」と、郵政民営化以降初めての赤字であったと報告されています。その大きな要因は郵便物の取り扱い数の減少であり、2022年度は144億通と2013年度の186億通に比べ約22.6%も減少しています。
昨今の若者を中心としたSNSの活用や「年賀状じまい」の風潮もあり、今後も郵便物の取り扱い数減少は続くと考えられます。
まとめ
今回は秋以降に予定されている郵便料金の改定について解説いたしました。はがき・封書が全国のどの地域にも同じ料金で届く、郵便料金の全国均一制度は1873年(明治6年)に始まったとされており、現在も重要な社会インフラといっても過言ではありません。今回の料金改定が制度を維持するためのものだと考えれば、納得もいくのではないでしょうか。 文:川手 康義(ファイナンシャルプランナー) CFP・1級FP技能士。製薬会社に勤務し、お金にも詳しいMR(医薬情報担当者)として活躍。日本FP協会に所属しており、協会会員向けの研修会や一般の方へのセミナーの企画・運営活動にもボランティアとしてかかわる。 (文:川手 康義(ファイナンシャルプランナー))