【魔の7歳】―小学校“新1年生”の時期 歩行中交通事故の死傷者数が突出…北海道内100人 要因は子どもの視野『大人の7割程度』・交通ルールよく理解せず 「根気強く安全な行動を習慣化する」専門家が指摘

真新しいランドセルを背負った小学1年生。いま、この時期の子どもに交通事故の被害が集中し“魔の7歳”とよばれ、注意が呼び掛けられています。どのように子どもたちを守ればいいのでしょうか。「(信号が)赤になったでしょ。青になりました。あ、まだ右見て。左を見て手を挙げてはい渡りましょう」(警察官)「(Q1人で横断歩道わたれる?)わたれる!」(交通安全教室に参加した新1年生)

新1年生を対象とした交通安全教室

札幌市中央区の小学校で新1年生を対象とした交通安全教室。横断歩道の渡り方や道路標識の意味を教えてもらい、子どもたちは道路の安全な歩き方を学びました。小学校入学とともに登下校や習い事で、1人で歩く機会も増える新1年生。保護者から不安の声も…。「警察官に教えてもらったとおり右見て左見て渡ってもらいたい」「ドキドキしました。まだ1人で渡らせることしたことなかったので」(いずれも保護者)子どもが巻き込まれる交通事故はどのようなものが多いのでしょうか。「特に(道路を)横断中の事故が多くて急な飛び出しによる被害が多くなっています」(札幌・西署 工藤亮一交通一課長)2023年、道内の交通事故による子どもの死傷者は6歳から8歳に集中していて、このうち7歳が100人と突出しています。7歳は小学校の1、2年生です。

7歳の歩行中の交通事故の死傷者数が突出して多い

子どもの事故防止に取り組む専門家はこの現象を“魔の7歳”とよび注意を呼び掛けています。「日本の0歳から高齢者まで全年齢において、7歳の歩行中の交通事故の死傷者数が突出して多いということを踏まえて“魔の7歳”という風に言われてます」(大阪大学大学院 岡真裕美さん)なぜ交通事故の被害が7歳に多いのでしょうか。「実際のところ、3月まで保育園、幼稚園、こども園などに通っていたお子さんたちですので、実は交通ルールはそこまで大人が思うほど知らないんですよね」(岡さん)交通ルールをよく理解せず行動することから、事故が多くなるといいます。

子どもの視野は大人の7割ほどしかない

さらに、最も注意すべきは「子どもの視野」だと指摘します。「子どもの視野は大人の左右に関しても上下に関しても7割程度。見える世界が大人と全然違うということを理解して子どもに指導してほしい」(岡さん)一般的に大人の視野は左右150度、上下120度ほど。一方で、子どもの視野は左右90度、上下70度ほど。子どもの視野は大人の7割ほどしかないことから車の存在に気づかないケースがあるといいます。「子どもは、もしかしたら見えてないかもしれない、気づいてないかもしれない」(岡さん)では、この“魔の7歳”から子どもたちをどう守ればいいのでしょうか。「(子どもの場合)理屈でわかっていても動いてしまう。やっぱり習慣化させてここではこうすると必ず教えておく」(岡さん)子どもと一緒に道路を歩き、根気強く安全な行動を習慣化させることが有効です。

子どもの行動を予測して運転を!

さらにドライバーには…。「(子どもが)死角にいるかもしれないとか、ここから飛び出してくるかもしれないっていう風に、かもしれないと思っていただきながら、安全運転を心がけてほしい」(岡さん)「かもしれない」と子どもの行動を予測して運転することが安全の第一歩です。期待に胸を膨らませる新1年生。悲惨な事故をなくすため、大人が率先して交通安全に取り組むことが大切です。

© 北海道文化放送株式会社