肥満のワンちゃんもダイエットできる!? 海外研究でわかったペットへの腸活効果

By 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ペットは今や家族の一員。みんなが人間と変わらない目線で接するのは当然のようになりました。しかし、一方でメタボや肥満の問題も人間と同じように増えているといいます。そんななか、健康によい影響を与える菌である「プロバイオティクス」が注目されています。このたび海外研究で、太り過ぎのワンちゃんの体重減少にプロバイオティクスが有効だという結果が新たに報告されました。ワンちゃんも腸活する時代になるのかもしれません。

脂質の多いエサを与えて検証

腸活が有名になったことも影響して、腸内フローラの重要性については広く知られつつありますが、動物の腸内でも多様な細菌が複雑なコミュニティを形成し、動物の健康につながることは、まだあまり知られていないかもしれません。健康な犬や猫はビフィズス菌やラクトバチルス菌などが多く、犬や猫に由来するこれらのプロバイオティクスを使った研究も行われています。こうした研究によると、シニア犬の健康改善や下痢症状の緩和、血糖およびコレステロール値の低減、全身の炎症の減少といった効果が示されています。ただ、このような効果のメカニズムに関する研究は、人間ほどには進んでいないようです。

そこで今回、韓国の研究グループは犬の腸内フローラを詳細に分析し、シニア犬で減少傾向にあるとわかった2つの菌であるビフィズス菌とエンテロコッカス菌の菌株をプロバイオティクスとして選別。これらの菌株を脂質の多いエサとともにビーグル犬に与え、効果とそのメカニズムを詳しく調べてみました。

これらの研究により確認されたのが、どちらの菌株も体重の増加と脂肪の蓄積を抑える効果があるということです。

具体的には、高カロリーで脂質が多いエサの量を同じように与えた場合でも、プロバイオティクスを一緒に与えた場合には体重も皮下脂肪も減ることがわかりました。しかし、プロバイオティクスを与えなかった場合は、どちらも増える結果になりました。

また、プロバイオティクスを与えた場合は体内の炎症の減少に加えてインスリン産生などの重要な代謝活動が活発になり、エネルギー代謝が増えたことも、血液検査から判明。体の代謝機能が脂肪の蓄積から脂肪の燃焼にシフトしたと見られました。

さらに、腸内フローラの分析からプロバイオティクスを与えたグループでは、腸に存在する善玉の常在菌の割合が増加していることも明らかに。この善玉菌は悪玉菌から体を守り、免疫機能を強化することが期待される菌だといい、こうした変化は一時的ではなく、犬の体内で継続的に見られるものでした。

これらの結果から、腸活は人間だけでなく、ワンちゃんでも注目されそうです。

<参考文献>

Probiotics Promote Weight Loss in Obese Dogs
https://asm.org/Press-Releases/2024/January/Probiotics-Promote-Weight-Loss-in-Obese-Dogs

Kang A, Kwak M, Lee DJ, Lee JJ, Kim MK, Song M, Lee M, Yang J, Oh S, Kim Y. 0. Dietary supplementation with probiotics promotes weight loss by reshaping the gut microbiome and energy metabolism in obese dogs. Microbiol Spectr 0:e02552-23.
https://journals.asm.org/doi/10.1128/spectrum.02552-23

腸活でメタボ対策ができる!? 海外研究が明らかになったプロバイオティクスの脂肪を減らす効果
https://fytte.jp/news/healthcare/185361/

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