『ACMA:GAME』第1話 「怖くないデスゲーム」というジュブナイルとしての正しさ

30歳を迎えていよいよ脂の乗ってきた間宮祥太朗を主役に迎えた『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)が7日にスタート。原作は2013年から4年間「週刊少年マガジン」(講談社)で連載されていた同名コミックで、今回が初のメディアミックスとなりました。

触れ込みは「“究極のデスゲーム”を超VFXで実写化!! 全世界必見のサバイバル・エンターテインメント」だそうです。

デスゲームものといえば、いわゆる心理戦・頭脳戦がメインになるので、どうしても見た目が地味になりがちなジャンルでもあります。本作は超VFXで実写化だそうですから、期待しちゃいますね。

振り返りましょう。

■本格っぽい雰囲気で始まりました

冒頭、アジアのどこかの村で拘束されている主人公の照朝(間宮)。おヒゲをたくわえ、いかにも旅人の雰囲気です。

このへんをうろうろしていて捕まったようですが、どうやらこの村では井戸が枯れてしまい、水不足に苦しんでいる様子。イスに縛り付けられたまま、照朝は「南側を掘れ」と指示します。すると、照朝の言う通り水がジャバジャバと吹き出しました。

感謝感謝の村人から、その地に伝わる装飾されたカギを手渡されますが、それは照朝の求めているカギではありませんでした。村を去る照朝、名前を聞かれ「ラッキーマン」と答えました。

照朝は首から古いカギを下げています。そのカギが、照朝をラッキーマンたらしめているのです。持っていると運気が上がるというそのカギは、幼いころに照朝が父親から譲り受けたものでした。

その見た目も効能も「週刊実話」みたいなやつの裏表紙に掲載されている開運グッズ広告そのものですが、その「悪魔のカギ」を99本集めると「この世のすべてが手に入る」とのこと。1万2,800円くらいなら出しちゃいそうですね。

一方そのころ日本では謎の「財産譲渡事件」が多発中。大金持ちが誰かに財産を譲渡した後に自殺しちゃう、その死に際に必ず「アクマ……」とつぶやいている、そんな怪事件です。

その報道をアジアの片隅でスマホで確認した照朝、映像の中に父の仇を見つけて即、帰国することにしました。

このへんまでは本格サスペンス感が漂っていて、いい感じ。

■デスゲームぬるすぎやろ

帰国後、いろいろあってデスゲームの第1戦が開幕します。相手はヤクザの親分になったばっかりの丸子くん(須賀健太)というキュートな男の子。悪魔のカギを持つ者同士、そのカギをゲームによって奪い合うようです。

照朝の自宅をいきなり訪ねた丸子くん、自分のカギを机に突き刺し「出てこいやぁ!」と叫びます。PRIDEの高田延彦そのままです。ほんとにそのまま。

すると、部屋に悪魔が召喚されました。3メートルくらいありそうな、巨大な牛のオバケです。

このへんで気づくのです。このドラマ、本格っぽい感じじゃないぞ。なんか敵である丸子くんもかわいいし、悪魔である牛のオバケもかわいいのです。

ゲームの内容は、「真偽心眼」というクイズでした。「問い手」となった片方が好きなことを言い、それが本当かウソか(TRUE or FALSE)を相手が当てるというもの。そのクイズに互いのカギと命をかけるわけですが、それにしちゃぬるくない? なんか、かわいくない? ますます疑念が広がっていきます。

そして、第1問。照朝はおもむろに500円玉とコップを持ち出し、ササっと何かして「コップの下に500円玉がある。ホント? ウソ?」というクイズを出題。丸子くんは「コップの下ってことは机の下の床もコップの下だよな」「引き出しの中もコップの下だしな」などと深く頭を悩ませながら、苦悶の表情を浮かべます。

ホントとかウソとかの前に、ぬるくない? デスゲームだよ?

攻守交替して丸子くん側の第1問は、さらにぬるいものでした。

「この部屋から半径1km以内にコンビニは4軒以上ある。ホント? ウソ?」

マジでどっちでもいいんですけど。

こうしたデスゲームを扱ったドラマで私たちが楽しみたいのは、やはりスリルと思考なわけです。怖いよ怖いよと思いながら、必死に思考を巡らせる登場人物に共感したいし、謎解きを楽しみたい。

さらに丸子くんは「悪魔の力」を発揮して部屋を寒くすることにより照朝の思考を鈍らせようとしますが、しばらくすると手下のおじさんに「このままじゃ全員凍死しちゃう」というもっともな指摘を受けてしまいます。

いろいろあって照朝は丸子くんに勝利。新しいカギを手に入れました。

全部ぬるい。でも、これは悪くないなぁという感触なんです。

「欲に支配されるな」という直球のメッセージは非常に正しいものだし、怖くない、なんかかわいいデスゲームというのも珍しくていいんじゃないかと思えてくるんですね。けっこうなお金をかけて日曜の夜にジュブナイルをやるというのも挑戦的だと思う。そう、要するにいろいろすごくジュブナイルです、このドラマ。

今後も、カギを持った人が次々に現れて、照朝とぬるくて楽しいデスゲームを繰り返していくようです。父の仇を打ちたいという物語の目標もはっきりしてるし、毎回ニコニコしながら見られるような気がします。はい。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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