松山英樹〝マスターズ2勝目〟のカギとキーホール 芹沢信雄が快挙の条件に迫る

マスターズ2度目のVに期待がかかる松山英樹(ロイター=USA TODAY Sports)

米男子ツアーメジャー初戦〝ゴルフの祭典〟「マスターズ」(ジョージア州オーガスタ、オーガスタ・ナショナルGC)は11日に開幕する。2021年覇者・松山英樹(32=LEXUS)は、日本勢史上初の海外メジャー2勝目を目指す。昨年は未勝利に終わったものの、今季は2月に勝利を挙げるなど上り調子。TBSの中継で解説を務める、プロゴルファーの芹沢信雄(64=TSI)が快挙の条件に迫った。

ショット力に定評ある松山は、常に優勝候補の一角に挙げられる選手とはいえ、今年はより期待を集めている。2月の「ジェネシス招待」最終日に、最終ラウンドの大会コースレコード62(パー71)の驚異的スコアで逆転優勝を飾ったからだ。

芹沢は「ああいう勝ち方をして、(勝利から遠ざかり)自信をなくしていたのが、コメントを見る限り、かなり自信を持っている感じですよね。オーガスタも絶対に優勝のチャンスがあります」と期待を寄せる。勝てば日本勢男女通じて初の海外メジャー2勝目の快挙だ。

もちろん、世界最高峰の選手が揃う中で勝つのは簡単ではない。ポイントは、まずグリーン上のパフォーマンス。「基本的には彼のドライバーは曲がらない方だし、アイアンの切れ味も抜群なので、まさしくパターしかないですよ。優勝したときもバーディーパットより、いやらしい2メートルくらいのパーパットがほとんど入っていましたからね。そこを決めきれてないと、やっぱり伸びないんですよね」と指摘した。

芹沢は松山のパッティングについて「我々が思う以上に繊細に考えているのでしょう」とした上で、好調時に見られる傾向を、こう説明した。「(打つまでの)タイミングが早くなると思います。入らないときは、なんとなく時間がかかっています。やっぱり入らないと、いろいろチェックしながら考えることが増えるというのはあると思うんで、アドレスなんかも長くなってしまう感じはします。入るときは、自分の中でスッと打てているというのは、ありますね」

もう一つ大事なのはコンディション面だ。昨季(2022―23年シーズン)は首痛などに悩まされて未勝利。思うような調整をすることができず、3試合の棄権を余儀なくされた。それだけに芹沢は「やっぱり体が心配ですよね。この辺の調子さえよければ、今の調子だと十分にチャンスはある」。2月の優勝はもちろん、3月の〝第5のメジャー〟「プレーヤーズ選手権」では6位に入るなど、体調はよさそう。最終調整で、しっかり整えられるかもカギを握るわけだ。

また、キーホールには15番パー5をピックアップ。難所とされるアーメンコーナー(11~13番)以外では「15番のロングは、距離的に(2打目で)乗るんだけど、一つ間違えて奥にこぼれるとアプローチが難しい。ここをすんなり2オンして2パットでいくと、16番(パー3)は、(精神的にバーディーを)取りやすくなりますので、意外とキーポイントなんですよね」と説明した。

松山が今年も勝てる力を持っているのは、疑いのない事実。もう一度グリーンジャケットに袖を通すシーンを、日本のファンに届けることができるか。

【特別招待の久常涼には「思い切り楽しんで」】今年の「マスターズ」には久常涼(21=SBSホールディングス)が特別招待で初参戦する。

久常は昨年に欧州ツアー(DPワールドツアー)「フランス・オープン」で優勝。欧州ツアー上位の資格で、今季から本格参戦した米ツアーで奮闘する中、2月に吉報が届いた。芹沢は「久常はもともと米ツアーを目指してやっていて、一つの目標であるマスターズに出られる。今年は思い切り楽しんでもらって、4日間プレーして『またここに来るぞ』という気持ちになってほしいですよね」と期待を寄せた。

過去に久常のプレーを見たことがある芹沢は、その良さについて「思い切りのよさはめちゃくちゃいいですよね。それにもともと米ツアー志向ですから、欧州ツアーから上がってこられたというのもあると思いますね」。初の大舞台で、どこまで上位に食らいつけるか注目だ。

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