大阪・関西万博 シンボル「大屋根リング」8割完成 開幕まで1年を前にメディア関係者に公開

大阪・関西万博開幕まで1年を前にメディアに公開された「大屋根リング」“リングスカイウォーク”<2024年4月8日 10時23分撮影 大阪市此花区>

大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日 184日間)の開幕まで1年となるのを前に、会場の人工島・夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)のシンボルとして建設中の木造「大屋根リング」の建設現場が8日、メディア関係者に公開された。

現在は全体の約8割が完成し、運営する日本国際博覧会協会は「今年9月末にはリングがつながる。(協会がプロデュース、準備する)静けさの森や、海外パビリオンのうちタイプB、Cの建物になどの工事は順調に進んでいる」としている。博覧会協会が主催するメディア向けの公開は昨年(2023年)11月以来。

【画像】大阪・関西万博 開幕1年前の「大屋根リング」

デザインは建築家・藤本壮介氏(大阪・関西万博会場デザインプロデューサー)。

”多様でありながら、ひとつ”という大阪・関西万博の理念を表現して、各施設に向かうための通路となり、屋上には「リングスカイウォーク」と名付けられた展望歩道が設けられる。

大屋根リングには柱や梁(はり)、屋根部分として計約2万6000立方メートルの木材を使用する見込み。環境への配慮や鉄骨使用時のコストとの比較などを鑑みて、国内外のスギやヒノキを用いた。

完成時のサイズは、建築面積(水平での投影面積)約6万平方メートル(甲子園球場の約1.5個分)。

梁(はり)を柱の”切り欠き(長方形の孔)”に差し込む、日本の伝統的な「貫(ぬき)」工法でブロック部分を建設する。

カーブが傾斜する「バンク」形状となっており、高さは内側12メートル・外側20メートル、直径が約650メートル、デッキの幅は約30メートル、1周すると約2キロメートルの規模となる。

一般の建物なら3~5階建てで、木造建築物としては世界最大級という。

リングの建設は、会場の3つの工区で、大林組、清水建設、竹中工務店がそれぞれ共同企業体(JV)を構成して担当している。
今後、すべてのリングがつながり、木組み部分が完成するのは今年(2024年)9月末の見込み。さらにエスカレーターや照明の取り付け、屋根部分の植樹などを経て、2025年1月に完成する予定。

博覧会協会は当初、大屋根リングの整備に約350億円を投じて閉幕後に解体するとしていたが、国会で与野党の議論の的になり、「無駄遣い」「世界一高い日傘」などと批判された。
このため博覧会協会が閉幕後の有効な活用策を公募し、20件の提案が寄せられた。

会場の中央が見渡せるリングの通行部分は、高さが最大で20メートル。

植樹が進む「静けさの森」や、8人のプロデューサーによる「シグネチャーパビリオン(テーマ館)」の外観デザイン、すでに12か国が着工している海外パビリオンなどが見渡せる。

敷地内では毎日、約2500~3000人が建設工事に従事しているという。

博覧会協会の高科淳(たかしな・じゅん)副事務総長は「世界では対立や分断がある中でも”つながっている”、 ”多様でありながら、ひとつ”ということをこのリングで発信したい。閉幕後のリングの活用案についても、積極的に検討していく」と意気込みを語った。

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