乙武洋匡氏に盟友・宮崎謙介氏が助言 公明党からの支援は「本部に直接お願いしに行くしかない」

乙武洋匡氏(左)の出馬会見の取材に訪れた宮崎謙介氏

作家の乙武洋匡氏(48)が8日に東京・江東区で会見を開き、衆院東京15区補欠選挙(16日告示、28日投開票)に無所属で立候補することを正式表明した。2016年にスキャンダルで参院選出馬断念に追い込まれた過去があるだけに、女性問題に質問が殺到する事態になった。そんな乙武氏を会見場で見守っていたのが、ゲス不倫騒動で衆院議員を辞職した宮崎謙介氏だ。スネに傷を持つ者同士で分かり合えることとは――。宮崎氏を直撃した。

この日の会見には約70人の報道陣と、10台を超えるテレビカメラが詰め掛けた。多くの記者に交じり、会見の様子を鋭い目で見つめる丸刈り頭の男の姿があった。先日、自身のSNSで突如として、ロン毛をバッサリと切り落とし、ネット上をざわつかせた宮崎氏だ。

宮崎氏は妻で金子恵美衆院議員(当時)の出産入院中に浮気がバレ、議員を辞職。乙武氏とは苦い過去を味わった盟友関係であるが、今回は政治ジャーナリストとして会見に訪れたという。

乙武氏は会見で、先天性四肢欠損症である自身の人生を振り返り「皆さんと違う境遇を生きてきました。異なる景色を見てきました。私にしかできない活動ができるのではないかと思っております」と訴えた。

懸念される女性問題についても自ら切りだし「8年前の私の私生活における出来事は、今振り返っても恥じ入るばかりです。改め深くおわびしたいと思います」と謝罪した。

この殊勝な姿に宮崎氏は「乙武さんの誠実さが伝わってくる会見でした。政治にかける思いが自身の境遇と向き合う中で、育まれてきたものがあると感じました」と評価。公明党が女性問題で、乙武氏の支援に難色を示していることに宮崎氏は「公明党さんは女性部が強いですから。公明党本部に行って直接お願いしに行くしかないんじゃないですか」とアドバイスを送った。

一方で、疑問として残るのが、無所属での出馬を強調した点だ。乙武氏は小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が国政進出に向けて設立した「ファーストの会」の副代表に先月末に就任した。当然、同党の公認候補と思われていたが、推薦をお願いするのにとどまるという。

宮崎氏は「おそらく選挙戦略。複数の政党からの推薦をもらいたい表れ。ファーストの会の公認となると、後から自民党が乗ってくるのは難しい。とはいえ、自民党は候補者がいないので、まとまった票が死に票になるわけにはいかないので、自民党もどっかに乗りたいと思うはず。それを踏まえた上で無所属という表現にしている」と推察した。

補選はこれまで8人が出馬を表明する大乱戦の様相だ。「乙武さんは絶対的な知名度はあるが、組織票も含めてどこまで動かせられるのか。まだ新しい政党だからファーストの会って組織票はあんまりないと思う。浮動票をどうやって取っていくのか。小池さんとの連携が肝になってくると思います」と指摘する。

「頭を下げまくるのが選挙。かっこいい選挙なんてない。泥にまみれて、髪の毛を振り乱してみたいな世界。そういう選挙をどこまでやれるか」とドブ板選挙に徹することができるかが勝敗を分けると説いた。

ところで、丸刈りにイメチェンして、政治ジャーナリストとなった宮崎氏は政界再挑戦への表れなのか?「政治の世界って自分が出たいと言って出られるものでもなかったりする。引き合わせとタイミング。まだまだみそぎと修行が足りないと思ってます」と否定。「こんなに面白い選挙区が身近にあるので政治ジャーナリストとして、追いかけたい」と真剣なまなざしで語った。

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