ツアー初Vの阿部未悠と佐久間朱莉の明暗を分けた「名物16番H」のピンポジション

トロフィーを手に笑顔の阿部未悠(C)共同通信社

【富士フイルム・スタジオアリス女子オープン】最終日

通算8アンダー発進の阿部未悠(23)と佐久間朱莉(21)の優勝争いは、阿部が14番から怒涛の4連続バーディーでスコア65と爆発。トーナメントレコードの通算15アンダーで念願のツアー初優勝を飾った。

阿部は父親の影響でゴルフを始め、通ったスクールにいた小祝さくら(25)に憧れてプロを目指し、2020年のテストに合格。この時のトップが佐久間だった。

この日、1番イーグルで序盤から主導権を握る佐久間を、阿部がとらえたのはグリーンが池に囲まれた名物の16番(185ヤード・パー3)。奥行き52ヤードの大きな2段グリーンはピンポジションによってクラブが4番手も変わる。最終日は手前から8ヤード・左4ヤードで実測166ヤード。阿部は先に7メートルのバーディーパットを沈めて通算14アンダーの佐久間に追いつく。佐久間は6メートルのチャンスを決められず、17番もバーディーの阿部に逆転された。

勝負に「タラレバ」はないが、ピンが上段にあったら阿部の猛攻は16番で止まっていたかもしれない。16番のピン位置は前日まで傾斜のきつい上段の右サイド。実測距離はいずれも180ヤード前後で難易度は18ホール中2番目に高かった。

16番でスリリングなショットを求めるならピン位置は上段の池に近い左サイドだろう。本紙記者が前日、現地でグリーンキーパーを兼務する石坂GC常務取締役の竹中純一氏に「最終日はそこにカップを切らないのか」と聞くと、次のような返答だった。

「16番はグリーン奥にスタンドがある。ピン位置を上段にした方がギャラリーは見やすいのですが極端な左サイドは池への傾斜がきつくカップを切ることはできない。初日、2日目と上の段でしたから、(コースセッティング担当の)中野(晶)さんは最終日は下段の左サイドを指示するかもしれませんね」

最終日はその通りのピン位置だった。

1打差に泣いた佐久間は、コースから近い川越市出身。アマの時から100回以上はラウンドしており、16番ホールも熟知している。カップ位置が難しい上段だったら、どうなっていたか。

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