国交省直轄業務の総合評価賃上げ加点/23年度上期実績、表明率が初年度比12%上昇

国土交通省は賃上げを行う企業を総合評価方式で加点する措置を巡って、直轄業務を対象とした2023年度上半期(23年4~9月)までの運用状況をまとめた。競争参加者のうち賃上げを表明した割合は22年度(22年4~23年3月)が71%だったのに対し、23年度上半期は83%に上昇した。業種別でも全5業種(土木コンサル、測量、地質調査、補償コンサル、建築コンサル)すべてで上昇。賃上げを表明した事業者が落札するケースも22年度が85%、23年度上半期が89%と伸びた。
23年度上半期に加点措置の対象となった業務は5125件(内閣府沖縄総合事務局含む、農業・港湾空港関係を除く)。うち1回でも入札参加した1166者の83%に当たる972者、1回でも落札した704者の89%に当たる623者が賃上げを表明した。
制度導入の初年度だった22年度は一部案件で手続きの準備に時間を要したため4496件が加点措置の対象だった。1回でも入札参加した1172者の71%に当たる837者、1回でも落札した638者の85%に当たる540者が賃上げを表明した。
業種別で22年度から23年度上半期にかけての賃上げ表明率の推移を見ると、土木コンサルが80%から88%、測量が70%から82%、地質調査が76%から85%、補償コンサルが78%から92%、建築コンサルが28%から63%といずれも上昇している。
建築コンサルは営繕関係業務を行う設計事務所が中心とみられる。民間需要が圧倒的に多いことから、国発注の業務に限定した加点措置のインセンティブが制度導入当初はそれほど働かなかった可能性がある。23年度上半期でも表明率が他業種より低い状況は変わらないが、半数を超えており一定の浸透を見て取れる。
加点措置は総合評価方式の入札だけに適用し、プロポーザル方式や価格競争では考慮されない。
直轄業務の総合評価方式による契約件数の割合は直近でも60%程度にとどまっており、契約件数の100%近い直轄工事とは状況が異なる。

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