男女混合名簿、呉市立小中高でスタート 呼び方「さん」に統一も

呉中央中の始業式で混合名簿の順番で列に並ぶ生徒

 広島県呉市立の小中高は本年度、校内で使う児童生徒の名簿について、男女混合名簿を導入した。同県竹原市と同県江田島市でも本年度、混合名簿に切り替えた。ジェンダー(社会的性差)平等などへの理解促進のため、芸南賀茂地区で導入が広がっている。

 呉中央中で8日、始業式があり、体育館に集合した生徒は全体の五十音順に整列した。坂田恭一校長が混合名簿について説明。「自分と異なる価値観や境遇を持つ人のことを理解し、互いを尊重できる人になって」と呼びかけた。

 げた箱の順番なども五十音順に変え、授業中の生徒の呼び方は「さん」に統一するという。3年の森本菜実さん(14)は「性別を意識しない並び方や呼び方で新鮮」。式根快斗さん(14)は「世の中の流れに対応していて歓迎したい」と受け止めた。

 昨年6月に性的少数者(LGBTQ)などへの理解増進法が成立したことなどを受け、市教委は昨夏に混合名簿の検討を始めた。寺本有伸教育長は「性自認で悩んでいる子もいる。多様性を尊重する時代の流れもあり、議論を重ねた上で判断した」と話す。

 日本教職員組合によると、2022年度に全国の約1万1千校から回答を得た調査の結果、小学校の97%、中学校の86%で混合名簿を導入していたという。

 芸南賀茂地区では、竹原市と江田島市で本年度から混合名簿に切り替えた。大崎上島町では小学校が混合名簿、中学校では男女別を使っている。一部の学校で混合名簿を使う同県東広島市教委は「時代の流れに即し、混合名簿への変更を進めていきたい」としている。

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