【TV初放送】やっぱり今年も地球を滅亡させたい!『アルマゲドン2024』はアサイラムの“はれときどき隕石”なカジュアル黙示録

『アルマゲドン2024』DVD発売中価格:¥4,800(税抜)発売:ニューセレクト株式会社© 2023 Acme Holding Company, LLC

(やっぱり今年も)巨大隕石襲来!

定期的に隕石を落としたがることでおなじみの映画スタジオ<アサイラム社>から、またしても地球が滅亡しそうになるSFパニック映画がやってきた。その名も、『アルマゲドン2024』(2023年/原題:『DOOMSDAY METEOR』)だ。

こうも毎年ふざけた巨大隕石や天変地異が発生しているアサイラム世界では、人類だってもはや慣れっこで自宅待機をかましながら、NASAが考えた今月の緊急特別作戦を楽しみにしていることだろう。

とにかく今回は、はれときどき隕石の勢いで終末が迫るディザスターパニックもの、『アルマゲドン2024』を紹介していこう。

地球滅亡の危機(既視感あり)に人類はどうする?

宇宙工学者のデイヴィス大尉と、彼の親友リック博士は、ある日<月の前を横断する謎の影>を観測する。その正体は、本来ならばありえないほど密集した小惑星群だった。たちまち隕石雨が各地に落下し、未曽有の大混乱に陥る人類。調査の結果、小惑星群の中心部では、エベレスト山の3倍の質量を誇る巨大小惑星が核となっていることが判明する。

ただちに人類滅亡回避作戦を発動したアメリカ合衆国は、世界各国と連携してのレーザー同時発射で対抗。小惑星群全体の24%を破壊するも、98%が鉄で構成されている中心の巨大小惑星には、まるで歯が立たなかった……。

残された最後の手段は、「スペースシャトルで巨大小惑星に“直接”降り立ち、ブースターを設置して、強引に小惑星群の軌道をねじ曲げる」こと。デイヴィス大尉とリック博士は、早速よりすぐりの人員を集め、この危険極まりない任務の下準備を進めていく。

が、その間にも隕石雨は地表を襲撃。もはや一刻の猶予もなく、スペースシャトルは未処理の耐熱タイルを数枚残したまま、不完全な状態で出発せざるを得なかった。

多数の不安要素と共に、デイヴィス大尉率いる精鋭部隊は宇宙(そら)を飛ぶが……。というのが本作の概要である。

監督はアルマゲドン映画ばかり撮っている筋金入りのアルマゲ野郎

監督・撮影はノア・ルーク。代表作は本作のほか、『アルマゲドン2021』(2020年)や『アルマゲドン2022』(2022年)など。ここ数年で3本もアルマゲドン映画を撮っている、筋金入りのアルマゲドン野郎だ(もちろん、アルマゲドン映画以外の作品も複数本監督している)。

<隕石>という題材的にもある程度は仕方のない部分はあるものの、ところどころブルース・ウィリス主演『アルマゲドン』(1998年)とダブる一本である。「小惑星に直接降下して人類滅亡を食い止める」一連の展開や、クライマックスで画面越しに遺言が流れるシーンなどからは、否が応でも本家『アルマゲドン』の類似シーンが想起されることだろう。

もちろん、よくよく見ると結構な違いは見受けられる。本家では「小惑星地表で掘削を行い、内部から核爆発を起こす」ところを、こちらは「ブースターで軌道をそらして」いる。また、本家では主要人物が「死ぬ前に直接家族と通信を行っている」が、本作では「事前に用意したビデオメッセージが流れる」といったような具合だ。

うっかり精鋭部隊&捨て身のゴリ押し戦法ほか見どころ多数

そして単体で見た場合の本作は、いつも通りの低予算早撮りアサイラム映画である。すなわち、前半は専門用語の羅列でダラダラしており、中盤からはちょいとばかり見所らしい見所も増えるが、総合的にはやはりオススメするまでには至らない、ぐらいのクオリティーということだ。

また終盤、人類が生きるか死ぬかの土壇場において、「あっ、しまった! 第3ロケットをうっかり誤って起動させた!」なんて台詞で全部説明しながら死者を出す精鋭部隊の姿は、(リアルといえばリアルなのかもしれないが)少々オマヌケで笑うしかない。

その他、中盤でスペースシャトルを修理するため我が身を顧みず船体に張り付き、<とある捨て身のゴリ押し戦法>で作業を完了する主要人物の活躍は、かなり勢い任せの展開ながらもなかなか悲痛なインパクトは感じられた。ほか、中国やロシアがいけ好かないお邪魔キャラとして配置されているのは、いつものアサイラム映画らしい作風だろうか。

本作はアサイラム社らしい量産型ディザスターものではある。が、せっかくアサイラム映画を観るのなら、この手の作品よりもモンスター・パニック系を選んだ方が、おそらく打率は高いだろう。

文:知的風ハット

『アルマゲドン2024』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年4月放送(※TV初放送)

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