個人事業主・フリーランスが知っておきたい【確定申告】の負担を一気に減らすための3つの事前準備

個人で働く方にとって大きな負担となるのが「確定申告」ではないでしょうか。毎年、3月になると「申告期限に間に合わない!」「事前準備をちゃんとしておけばよかった……」といった声を聞きます。とはいえ、何から準備を始めればいいのかがわからない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、初めての確定申告を来年に控え、今から不安を感じている個人事業主・フリーランスの方に向けて、これだけは押さえてほしい3つの事前準備を解説します。最初に仕組みをしっかりと作っておけば、確定申告の負担は一気に減らせます。


知っておきたい確定申告の基礎知識

個人事業主やフリーランスなどの事業収入がある方は、毎年1月1日から12月31日までの所得をまとめて、所得に対する納税額を計算し、税務署への申告が必要です。原則、翌年の2月16日から3月15日までに申告と納税を行います。

確定申告には、1年間の収入と支出がわかる資料や各控除の証明書などが必要です。申告書の作成時に売上・経費の計上漏れや控除の入力漏れがあると、正しく帳簿がつけられず、納税額が多くなってしまいます。そのような事態が起きぬよう、日々の帳簿づけや資料の管理といった事前準備をしておくことが大切です。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、両方とも帳簿づけが必要となります。白色申告は青色申告に比べて帳簿の作成が比較的簡単ですが、節税の特典がありません。一方、青色申告は正確な帳簿づけや資料の管理が必要になる分、さまざまな特典を受けることができます。

節税に必須である青色申告をするために、必要な準備をひとつずつ詳しく解説します。

事業専用の銀行口座・クレジットカードを用意する

個人事業主やフリーランスとして事業をスタートする際に、事業用の銀行口座やクレジットカードを用意しましょう。

お手持ちの銀行口座やクレジットカードでも問題ありません。ただし、既存のものを使う場合は、生活費とは別のカードを使用するほうがよいでしょう。生活費と同じカードを事業用にすると、事業の支出とプライベートの支出が混ざってしまい、帳簿づけが複雑になってしまいます。

事業用の銀行口座やクレジットカードを作ることで、「事業用として支払ったもの」ということが明確になります。プライベートとしっかり分けることで、経費の計上漏れを防ぎ、管理もしやすくなるのです。

「事業用の銀行口座は屋号付きがいいですか?」というご質問をいただくことが多くあります。こちらについては「屋号付きにこだわらなくても大丈夫です」とお答えしています。

屋号入りの銀行口座を作る際、銀行によっては自宅や事務所から近い支店でしか開設できない、開業届の提出が求められるなど、個人で作成するよりも少し手間がかかります。また、税金が還付 される場合、屋号入りの口座を還付の受け取り口座に指定することはできません。銀行によってはインターネットバンキングを使用する際に、法人と同様の手数料がかかることもあります。

このように屋号付き口座は、開設に手間がかかることも多いですが、その分信頼度はアップします。業種によっては振り込みをするお客様の安心度を最優先して、屋号付きという選択もありでしょう。

事業用にお手元の銀行口座を使用するのも良いですが、後述するクラウド会計ソフトとの連携を考えるとネット銀行の口座を新しく開設することをお勧めします。ネット銀行は自宅で開設可能で、手数料も比較的お得なケースが多く見受けられます。ただし、一部のネット銀行については、還付金の振り込みができないので、事前の確認が必要です。

「所得税の青色申告承認申請書」を提出する

「青色申告 がお得」という話は聞いたことがあっても、具体的にどのようなメリットがあるのかわからない方も多いのではないでしょうか。

青色申告とは、「複式簿記」もしくは「簡易簿記」で作成した帳簿で、申告する方法です。
事前に申請書を提出し、収入や経費など日々のお金の流れを記録した帳簿をつけるといった条件を満たした場合、事業収入などの所得から最大65万円を控除できます。

青色申告の主な特典は以下の4点です。

・最大65万円/55万円/10万円の青色申告特別控除を受けられる

・家族の給与を経費にすることができる

・赤字を3年間繰り越せる

・減価償却の特例を受けられる

これらの特典をうまく活用することで納める所得税が減り、住民税や健康保険料などの金額も抑えられます。青色申告は、個人事業主やフリーランスが利用できる非常に良い節税方法です。

ただし、青色申告を行う場合、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。「所得税の青色申告承認申請書」は、新しく事業を始めた場合、開業から2か月以内に提出します(※1月1日~1月15日の間に事業を始めた場合は3月15日が期限)。すでに開業している場合は、青色申告をしたい年の3月15日までに申請書を提出する必要があります。

さらに、最大65万円の控除を受けるためには、下記5つが条件となります。

①複式簿記による帳簿づけ

②①にもとづいて青色申告決算書を作成し申告時に添付する

③提出期限を守る(3月15日期限厳守)

④現金主義の特例を選択しない

⑤e-Taxで申告するまたは電子帳簿保存法が定める「優良な電子帳簿」として保存をしている

複式簿記で正しい帳簿づけをするには、簿記の知識が必要になるので難しいと感じるかもしれません。しかし、最近は初心者でも使いやすい会計ソフトも多く、簡単に複式簿記の帳簿づけができるようになっています。

クラウド会計ソフトを導入する

クラウド会計ソフトを使うと、事業用に作成した預金口座やクレジットカードを連携させ、経費を手間なく漏れなく計上することができます。また、青色申告決算書や確定申告書の作成も可能です。e-Taxに対応している会計ソフトもあり、最大65万円の青色申告特別控除の要件を満たすことができます。

手書きの帳簿でも帳簿づけは可能ですが、簿記の知識がないと入力に時間がかかってしまい、入力ミスや計上漏れの恐れもあります。節税と自身の事業の時間を確保するために、クラウド会計ソフトの導入を選択するほうが良いでしょう。

会計ソフトを選ぶ際には、下記3つのポイントを目安として選ぶとよいでしょう。

①確定申告必要書類の作成まで対応している

②電子申告(e-Tax)に対応している

③事業用の預金口座やクレジットカードと連携できる

会計ソフトの無料お試し期間を利用して、ソフトの使い方や利用できる機能、自分が見たい情報がすぐ見ることができるのかなどの相性を確認しておきましょう。

青色申告を選択していない人はすぐに申請書提出を

節税に青色申告は欠かせません。事業用の預金口座・クレジットカードを用意し、クラウド会計ソフトを使い、e-Taxで確定申告をすることで、手間を減らしながら青色申告の特典を受けることができます。

青色申告は、開業から2か月以内、すでに開業済みの方は3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。忙しさを理由先送りにしているとあっという間に提出期限が過ぎてしまいます。来年のご自身のために、今すぐ行動してくださいね。

税金を払いすぎていませんか? 自分に最適な節税をお金のプロに無料相談[by MoneyForward]

© 株式会社マネーフォワード