白、緑、紫のアスパラガス 色によって何が違う? 栄養や特徴など栄養士が解説

春を代表する野菜、色とりどりのアスパラガス(写真はイメージ)【写真:写真AC】

春を代表する野菜のひとつ、アスパラガス。緑色のグリーンアスパラガスが一般的ですが、品種改良や栽培方法の進化で、現在はホワイトアスパラガス、紫アスパラガスなども店頭に並びます。色によって違いはあるのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに、アスパラガスの豆知識を伺いました。

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アスパラガスの主な種類と特徴

アスパラガスが日本に伝わったのは江戸時代で、当時は観賞用だったといわれています。明治時代に入ってから食用として栽培されるようになりました。現代には、グリーン、ホワイト、そして紫色のアスパラガスもあります。まずは、それぞれのアスパラガスの特徴を紹介しましょう。

○グリーンアスパラガス
地面から上に伸びた緑色の若い茎を収穫したものです。太陽の光を十分に浴びて育つので、みずみずしさとシャキシャキ感があり、やや青臭さが残ります。現在の流通量の90%以上を占めますが、青果として一般に広まったのは1970年代。ハウス栽培もあるので、4月頃から出回ります。また、10センチほどで早採りしたものはミニアスパラガスと呼ばれます。

○ホワイトアスパラガス
品種はグリーンアスパラガスと同じですが、土寄せや遮光フィルムなどを使って、日光を当てずに栽培されたものです。やわらかく甘みがあり、旨味が濃いのが特徴。傷みやすいため、缶詰や瓶詰の加工品用としての栽培がメインでしたが、近年は生のものが5月から6月の短い時期に出回るようになりました。

○紫アスパラガス
近年見かけるようになった種類で、流通量はまだ少なめです。香りが豊かで、やや甘みが強く、やわらかな食感が特徴。生食にも向いています。紫色はポリフェノールの一種アントシアニンによるもの。グリーンアスパラガスと品種は異なりますが、ゆでると緑色になります。

色の違いについては、栽培方法と含まれている成分に違いが。グリーンアスパラガスは光に当てて栽培することで葉緑素が生成され濃い緑色に、ホワイトアスパラガスは光に当たらないようにする軟白栽培で白色に、そして紫のアスパラガスは品種が異なり、表面にアントシアニンなどのポリフェノールを含んでいることで紫色になります。

春の時期に店頭で見かけたら、食べ比べをしてみるのも良いですね。

アスパラガスの代表的な栄養とは

アスパラガスの代表的な栄養成分としては、アスパラギン酸が挙げられます。名の通り、アスパラガスから発見された成分で、疲労回復や滋養強壮、皮膚の代謝活性などに効果があると考えられているアミノ酸の一種です。栄養剤にも使われています。

このほか、造血のビタミンといわれる葉酸も豊富。そばで有名な、毛細血管を丈夫にするルチンは穂先に多く含まれているといわれています。コラーゲン生成に必須のビタミンC、目や皮膚、粘膜を強くするといわれるビタミンAに変換するβカロテンが含まれる面も。ただ、ホワイトアスパラガスは、βカロテンやルチンをほとんど含みません。

栄養とおいしさを丸ごと摂ろう

葉酸やビタミンCは水溶性なので、ゆでると損失があります。また、βカロテンは脂溶性なので、油を使うと吸収率を上げてくれる特徴が。栄養のメリットを摂りたいときは、電子レンジで加熱したあとにオリーブオイルと塩コショウで味つけをするか、油で炒めて塩コショウで味つけすると良いでしょう。新鮮なアスパラガスならではの、素材の味を十分に楽しんでください。

調理をする際は、必ず水洗いしましょう。とくに穂先やハカマの部分は汚れがつきやすいので、丁寧に洗い流すようにしてください。硬い根元部分は切り落とし、硬そうな皮の部分はピーラーで薄くむきます。やわらかいものであれば、すべて皮をむく必要はありません。切り落とした根元部分から3センチくらいまでの皮をむきましょう。

和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。

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