【えほんのとびら】No.252「さるとわに」

ほるぷ出版
作:ポール・ガルドン
訳:北村 順治

 頭の回転の早いさると、自分のほうがずっとかしこいと思いこんでいるわにの知恵くらべのおはなし。

 わには、木から木へと飛び回っているさるを見て、何とかあいつを食べたいものだとねらっていました。 まずは「おれの背中に乗って、向こうの島のくだものを食べに行かないか」と誘いをかけます。さるはその言葉にのせられてしまいましたが、すんでのところでわにの本心を知り、すばやく知恵をはたらかせ、危機を脱出。この勝負、さるの勝ち。

 わにはあきらめきれず、今度は岩になったふりをしてさるを待ちぶせします。が、あっさり見やぶられてしまいました。

 結局わにはさるのかしこさを認め「きみをつかまえるのはあきらめた」と言いますが、それを真に受けるさるではありません。

 「きみには やっぱり すきを みせないようにするよ」と言って逃げていってしまいました。

 インドのジャータカ物語をもとにつくられたおはなし。ひとひねり加えた展開とのびやかな絵によって、二匹のかけひきのおもしろさをたっぷり味わえます。

ぶどうの木代表 中村 佳恵

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