重大災害法違反の企業代表に懲役2年...危険無視し死亡=韓国

安全点検で危険性が確認されたにもかかわらず、これを無視して作業を進めた結果、死亡事故を引き起こした企業の代表取締役に対し、重大災害処罰法が適用され実刑が宣告された。

韓国蔚山地方裁判所は8日、重大災害処罰などに関する法律違反の疑いなどで裁判にかけられた量産自動車部品メーカーの代表取締役A氏に懲役2年を宣告したと明らかにした。

蔚山地裁によると、この判決は同法関連でこれまでに下された15件以上の1審判決の中で最も量刑が重い判決だという。

2022年7月、量産自動車部品メーカーA社では、ネパール国籍の労働者がダイカスト(溶かした非鉄金属の合金)機械の金型清掃作業中に機械に挟まれて死亡するという悲劇が発生した。A社は以前にも、安全点検を委託された大韓産業安全協会から、ダイカスト機械の一部安全扉の防護装置が破損し、「事故の危険性が高い」、「直ちに改善が必要な状態」と何度も報告を受けていた。ダイカストマシンの一部安全扉の防護装置が破損し、安全扉を開けても機械が作動を停止しない欠陥が発見されたが、A氏はこの事実を知ったにもかかわらず、何の対策も講じなかった。事故に備えた作業停止、労働者の退避、危険要因の除去などと関連したマニュアルも用意しなかった。

裁判所は「事故発生10日前にも大韓産業安全協会から具体的な事故の危険性を指摘されたのに、恐ろしい事故が発生した。適切に措置していれば、被害者が死亡することはなかっただろう」と指摘した。そして、「遺族と合意して事後是正措置を終えたとしても、執行猶予などで善処することはできない」と宣告の理由を明らかにした。

裁判所はこの事件と関連し、業務上過失致死の容疑で起訴されたこの会社の総括理事B氏には懲役1年6か月を、重大災害処罰法の容疑が適用された会社法人には罰金1億5千万ウォン(約1680万円)をそれぞれ言い渡した。今回の判決は、重大災害処罰法が施行されて以降、産業安全重検察庁である蔚山地方検察庁が管轄する蔚山・梁山地域で初めて裁判にかけられた事件だ。

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