【千葉魂】一緒に優勝したい ベテラン荻野と角中 千葉ロッテ

荻野(左)と角中

 開幕5試合目は死闘となった。4月3日、福岡でのホークス戦。先制され、追いつき、勝ち越し、追いつかれゲームは延長十二回に突入していた。2死一、二塁、マリーンズ最後の攻撃。打席には、10月には39歳になる大ベテランの荻野貴司外野手が入った。その初球だった。強く振り抜くと鋭い打球が外野を抜けていった。ファン待望の勝ち越しの2点二塁打。頼れる男の一打でマリーンズは貴重な勝利を収めた。

 「球種は分からないですが、横に曲がるボールでした。真ん中のちょっと高め。身体が反応するボールだったら初球から積極的に振り抜こうと考えていました」と試合後、荻野は汗を拭いながら安堵(あんど)の表情で振り返った。

 チーム最年長のプロ15年目だが衰え知らず。チームに欠かせない頼もしい存在は、2歳年下の角中勝也外野手の活躍を刺激にしている。この日も角中は九回に代打で登場するとホークスの抑えの切り札、ロベルト・オスナ投手から一時は勝ち越しとなる右前適時打を放っている。

 「角中には見ていて何かやってくれるという安心感がある。ワクワクする感じ。相手からしたら嫌な存在だと思う。自分もそうありたいと思う」と荻野は話す。

 荻野は2009年ドラフトで入団。角中は06年ドラフト。年齢は荻野がチーム最年長でマリーンズ在籍年数は角中が誰よりも長い。

 「若い頃は同じ外野のポジションということもあってライバル意識はあったけど、この年になるとお互い頑張って、一緒に優勝したいという思いが強い」と荻野。

 リーグ3位から日本一になった10年も荻野はけがで離脱。角中は2軍で過ごした。まだ見ぬ頂点へ。ベテラン2人の想いは誰よりも強い。

 そして角中の貪欲に練習に取り組む姿勢も荻野にとっては強い刺激となっている。

 「カク(角中)は準備に余念がない。試合前には打ち込んでいるし、早く球場にきてしっかりと準備をしている。その姿勢は見習わないといけない」

 荻野は知っている。ホームでは全体練習後に角中は室内でマシン相手に黙々と打ち込む。ビジターでも早出組のバスに乗り込み、ベンチ裏で入念にストレッチを行い、バットを振り準備をしている。そのルーティンを、ずっと続けている。荻野も負けていない。全体練習より前から独特のストレッチや体幹トレなどで身体を温め試合に臨んでいる。そんな2人だからこそ「一緒に優勝したい」と言う。悲願のリーグ優勝へ。マリーンズの誇るベテラン勢がチームを支える。

(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)

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