伝統の「木場浮立」5年ぶり 華やかな衣装、愛嬌ある舞 佐世保・上木場公園

5年ぶりに披露された「木場浮立」=佐世保市、上木場公園

 長崎県指定無形民俗文化財「木場浮立(ふりゅう)」の発表会が7日、佐世保市黒髪町の上木場公園であり、華やかな衣装をまとった踊り手が、囃子(はやし)にあわせて舞を披露した。少子高齢化による担い手不足で今年の披露が危ぶまれたが、初めて地元の上木場地区外から参加者を募り5年ぶりの開催にこぎ着けた。
 木場浮立は1690年に佐賀県西有田から佐世保市の上木場地区に伝わったとされる。農民の雨乞い行事として始まり、豊作祝いや農民の娯楽として代々受け継がれている。戦後一時、途絶えたが1953年に地元有志が木場浮立保存会を発足。以降、4月の第1日曜に披露していたが、新型コロナ禍で2019年を最後に中断を余儀なくされていた。
 中断している間に顕著になったのが、伝統文化を継承し続ける難しさ。保存会の白川正實会長(80)らによると、人口減少を一因に上木場地区だけで約50人の出演者がそろわなかった。相談を受けた市教委文化財課が、同じ学校区の小学校や中学校の協力を仰ぐなどして人数を確保した。

大名行列の様子を表し練り歩く出演者

 当日は5~80歳までの50人が出演し、6割超が上木場地区外から参加。大名行列を表した一行が練り歩いた後、笛やかね、太鼓に合わせて雨が降るように願ったり喜んだりする様子を六つの舞で表現した。木の皮で作られた獅子は、ユーモラスで愛嬌(あいきょう)ある舞を披露した。
 初めて参加した市立日宇中2年の吉田朱莉さん(13)は「見ている人にきれいに見えるように姿勢に気を付けた。練習中は満足できない時もあったけれど、よくできたと思う」と感想。白川会長は「無事に披露できて安心した。これからも続けていければ」と話した。 

© 株式会社長崎新聞社