夜の飲食店スタンプラリー、4軒はしごで… 10店舗が連携「うちの店だけでよくても無理」 三木

居酒屋やスナックを巡るスタンプラリーの台紙=三木市福井1

 新型コロナウイルス感染症の5類移行からまもなく1年。客足がなかなか戻らない居酒屋やスナックなど夜の店を活気づけようと、兵庫県三木市福井1の飲食店街「銭屋酒坊」が呼びかけ、市内の10店舗で飲み物2杯が無料になるスタンプラリーを実施中だ。30日まで。(小西隆久)

 同飲食店街を運営する不動産会社「999」が企画した。ラリーの仕組みは、最初の店で台紙とスタンプをもらい、紹介された店など3軒(同じ店は不可)を巡ってスタンプを押し、最初の店に行けば飲み物2杯が無料で提供される。

 「新しいお客さんにも足を運んでもらうきっかけになる」と期待するのは、同飲食店街「居酒屋まるよし」の岸田優店長(48)。店をオープンしてまもなくコロナ禍に見舞われた。店を半年間閉め、再開後は時短営業にも従い「来てくれるお客さんのために頑張っていた」と振り返る。

 5類移行後も「コロナ禍の間に家飲みが定着した」ため、客足はコロナ前の6割ほどにとどまる。最近は物価高騰も追い打ちをかけるが「価格転嫁すると1週間に1回来てくれるお客さんが2週間に1回になる」と歯を食いしばってお手頃価格を維持している。

 スタンプラリーは「うちが好きな常連さんなら、うちが紹介する店も好きになってくれる」と歓迎する。

 同じビルのスナック「GOLD」もコロナ禍直前にオープンしたが、午後8時以降の酒類提供ができなかったため、ほぼ2年間営業できなかった。「よう持ちこたえられたと思うわ」。ママの小西澄子さんは開店前の手を止めることなく話す。

 再開後も感染を怖がる客のためにカラオケのマイクに使い捨てのカバーを付けたり、マスクを常備したりと「経費ばっかりかかるねん」。それでも、売り上げがコロナ前の6割まで回復した理由を「私の顔やないの」とにやり。

 「うちの店だけでよくなろうと思っても無理。スタンプラリーがいいきっかけになれば」と得意の沖縄太鼓の出番を心待ちにする。

 「999」の山上元子さんは「帰りは必ず運転代行かタクシーでどうぞ」。

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