【皐月賞】データは共同通信杯、ホープフルS組優勢 毎日杯圧勝のメイショウタバルは侮れない

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

皐月賞の参考レースを振り返る

いよいよ今週末、3歳牡馬たちが三冠をかけて争うクラシック戦線がスタートする。

今年のメンバーを見渡して複数の重賞を勝利しているのは、最優秀2歳牡馬のタイトルを獲得したジャンタルマンタルのみ。現時点では突出した成績を残す牡馬は不在と言えるが、ホープフルSを制した牝馬レガレイラの参戦もあり、楽しみなメンバーが揃った。

ここでは出走予定馬の主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返っていく。

共同通信杯【データ:A メンバーレベル:A】

過去10年の成績【5-0-3-11】勝率26.3%、連対率26.3%、複勝率42.1%

14年イスラボニータ、15年ドゥラメンテ、16年ディーマジェスティ、21年エフフォーリア、22年ジオグリフと計5頭も勝ち馬を出している、近年のトレンドのローテーションだ。

10頭立てとなったレースはパワーホールが逃げる展開に。前半1000m通過1:02.7のスローペースとなった。ジャスティンミラノは3馬身ほど離れた2番手追走から残り200mで先頭に立つと、後続を寄せつけず1馬身半差で快勝。勝ちタイムは1:48.0だった。

ラスト10.9-10.8というレースラップが刻まれ、究極の瞬発力勝負となった。この展開でジャスティンミラノは最後に流して上がり32.6をマークした。皐月賞本番は同様の展開にはならないことが予想されるが、東京芝2000mの新馬戦ではラスト800mを45.9でまとめるなど秘める能力は一級品。これまでの2戦よりタフな流れと中山コースをこなせるかどうかだ。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

2歳王者ジャンタルマンタルは朝日杯FSから共同通信杯に出走。序盤かかり気味で折り合いに苦労する場面がありながらも、好位からレースを進めて2着。本来長く良い脚を使うタイプで、展開としては向かないレースだったと言える。それにも関わらず、勝ち馬と同じ上がり32.6で1馬身半差という内容は悪くない。今回はさらに200mの距離延長となるが、中山コースならジャスティンミラノを逆転しても不思議はない。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ホープフルS【データ:A メンバーレベル:A】

過去10年の成績【2-0-0-3】勝率40.0%、連対率40.0%、複勝率40.0%

上記の成績はGⅡ時代のものも含んでいるが、19年サートゥルナーリアと20年コントレイルはいずれもGⅠ昇格後の勝利。このローテーションで挑む馬は少ないものの、好成績を残している。

スタートしてハナを奪ったのはヴェロキラプトル、2番手にアンモシエラがピッタリとマークして内枠勢がレースを引っ張った。1000m通過は1:00.0、序盤は後方3番手を追走していた牝馬のレガレイラが徐々に進出を開始し、直線では大外から豪快に突き抜けて2:00.2で勝利した。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

3/4馬身差の2着だったシンエンペラーは弥生賞ディープインパクト記念で2着、3着サンライズジパングは若駒Sを勝利、5着ミスタージーティーは若葉Sを制し、6着シリウスコルトは弥生賞ディープインパクト記念で3着など、負けた馬の次走以降を見ると、レースレベルはそれなりに高かったと言える。

レガレイラは今回、C.ルメール騎手の負傷によって乗り替わりとなる点が残念ではあるが、能力では牡馬相手でも見劣る点はなくグレード制導入以降初の快挙なるか注目だ。

京成杯【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-0-1-4】勝率16.7%、連対率16.7%、複勝率33.3%

昨年にソールオリエンスが京成杯をステップに勝利。18年にはジェネラーレウーノが8番人気で3着に入っている。

好スタートからアスクナイスショーが逃げ、2番手にコスモブッドレアがつけて、1000m通過1:00.7というペース。道中5番手を追走していたダノンデサイルは直線、大外へと進路を取ると豪快に突き抜けた。勝ちタイムは2:00.5だった。

2着はアーバンシック。中団やや後方から運んで4角では10番手、馬群を割って上がり最速33.9で追い込んだ脚は能力の高さを感じさせた。ただコーナーでモタつく面を見せるなど、広いコースの方が合っていそうな印象を受けた。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

毎日杯【データ:B メンバーレベル:B】

過去10年の成績【1-0-0-6】勝率14.3%、連対率14.3%、複勝率14.3%

17年にアルアインが9番人気で皐月賞を優勝しており、単回収率320%という成績が残る。

雨は上がったものの、重馬場で行われた今年の毎日杯。先行争いを制したメイショウタバルが前半1000m通過59.6というペースで逃げた。直線、最内ピッタリを回ると後続との差はどんどん広がり、最終的にはシンザン記念で強い勝ち方をしたノーブルロジャーに6馬身差をつけた。

勝ちタイム1:46.0も歴代のGⅠ馬たちがマークしたものと比較しても優秀。しかも重馬場での記録という点も考えると、かなりのポテンシャルを秘めていることは明らかだ。間隔は詰まっているが、勢いそのままに皐月賞を勝ち切る可能性まである。

弥生賞ディープインパクト記念【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年の成績【0-5-2-33】勝率0.0%、連対率12.5%、複勝率17.5%

過去10年で弥生賞ディープインパクト記念から参戦して勝利した馬はいないが、23年タスティエーラなど2着5回。近3年連続で3着内への好走馬が出ている。

シリウスコルトがすんなりと単騎で逃げる展開。1000m通過は1:00.4だった。スタートで後手を踏んだコスモキュランダは3角辺りで2番手外までポジションを押し上げた。直線半ばで先頭に立つと、そのまま押し切り後続に1.1/4馬身差をつけて勝利した。

勝ちタイムは1:59.8。相手はさらに強くなるが、J.モレイラ騎手が騎乗するのは大きな後押しとなりそうだ。

2着はシンエンペラー。好位の内目からレースを進め、勝負所でやや反応の鈍さが感じられたが、直線ではジリジリと伸びた。少し物足りない内容ではあったが、あくまでもトライアルという仕上げだったように感じた。今回は変わってくるだろう。

逃げたシリウスコルトはシンエンペラーからさらに1.1/4馬身離れた3着。うまく逃げて展開を味方につけたという印象は否めないが、自身の力は発揮できたと言える。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

きさらぎ賞【データ:C メンバーレベル:C】

過去10年の成績【0-0-1-7】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率12.5%

きさらぎ賞をステップに挑んだのは8頭。勝利はなく、16年サトノダイヤモンドの3着が最高成績だ。

シヴァースとテイエムリステットが並んでの先行争いとなり、1000mを1:00.2で通過。直線は各馬やや外に持ち出しながら横に広がる展開となった。ゴール前は内でウォーターリヒトとシヴァースが馬体を併せるところに、離れた大外からビザンチンドリームが迫り3頭による大接戦となった。

結果、ビザンチンドリームがハナ差で勝利。勝ちタイムは1:46.8だった。

スタートが遅かったビザンチンドリームは向正面で折り合いの難しさも見せての追走。直線も大外を回しながらきっちり差し切った点は評価できるが、2着に負かしたウォーターリヒトは次走のスプリングSで9着だった点などから、メンバーレベルはそこまで高くなかったと考えられる。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。



© 株式会社グラッドキューブ