花粉症シーズン真っ只中 専門医が教える鼻のかみ方とNG行動 「蒸しタオル」ほか効果的な対策法も紹介

花粉症で苦しむ日本人は多い…… ※画像はphotolibrary

鼻から出る鼻水は止まらず、目や耳をなどが猛烈な痒みに悩まされる今日この頃。2月頃から始まっている花粉症はまだまだ終わらない。そんな花粉による“禁断症状”に悩まされる人々の手元に欠かせないのは、ティッシュペーパーである。ティッシュを使った正しい鼻のかみ方と花粉症の仕組みを、読売クリニックの耳鼻咽喉科の木村聡子医師に解説してもらった。

木村医師によると大前提として「風邪のときに出る鼻水と花粉症に悩む人の鼻水は別物」とのこと。

「花粉症のときに出る鼻水は、医学的に水様性鼻汁と呼ばれています。文字通りさらさらした水のような鼻水ですね。一方、風邪のときは、初め水のような鼻水でも数日たつとぬるぬる、ネバネバした鼻水になってくることが多いと思います。もっとひどくなると黄色や緑の鼻水が出ます。これは鼻の周りで炎症が起き、細菌感染を起こしているサインです」(木村医師)

花粉は本来であれば自然界のもの。そのため、ウイルスや細菌とは違い、体内に入ったからといって体に害はないそうだ。それではなぜ、花粉が舞う時期に人は鼻水が止まらなくなるのか。

「体内に花粉が入ってくると、体はそれを受け入れて良いものか悪いものかを判断します。花粉が体にとって悪いものだと誤認すると、体内ではそれに反応する仕組みIgE抗体が作られ、それが肥満細胞にくっつきます。

次にまた花粉が体内へと入ってくると、準備していたIgE抗体へと花粉がくっつく。すると、肥満細胞が活動を始め、花粉を外へと追い出そうとするシステムが働きます。これがくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状へとつながるのです」(前同)

こうして鼻水が止まらなくなるわけだが、この際、重要になるのが鼻から出る鼻水のかみ方だという。

「鼻と耳は耳管という管でつながっている。そのため、両鼻をティッシュでおさえて勢い良く鼻をかむと鼻から耳へと鼻水が押し出されます。すると、汚い鼻水が耳の中に入り、中耳炎の原因にもなりやすい。鼻をかむなら片方ずつ抑えてかむか、ゆっくりやさしくかむのが良いでしょう」(同)

■「鼻を温めるのも効果的」

花粉症のこの時期、症状に悩む人々が気をつけたいのは、鼻のかみ方だけではないという。鼻水が出るときにやりがちな、鼻をすするという行為にも注意が必要だという。

「鼻をすするのはやめたほうが良いですね。鼻水をすすった結果、鼻の中に鼻水が溜まり、これまた中耳炎などの原因になりやすい。花粉症でつらくても、鼻はすすらずに通りをよくしておくべきなのです」(前出の木村医師)

しかし、それでも鼻は詰まるもの。もちろん、病院で処方される飲み薬や点鼻薬も効果は期待できるが、点鼻薬には使用上の注意点もあるという。

「市販の鼻詰まり用の点鼻薬には、頻回に使いすぎると逆に鼻の粘膜が腫れて鼻が詰まってくるものもあります。一時的に鼻が通るとしても、使い過ぎはNGです」(前同)

ほかに何か対策はあるのだろうか。

「睡眠時には副交感神経といって体を休める神経が働くため、鼻粘膜の血管が緩んで粘膜が腫れやすいのです。そのため夜になると鼻が詰まりやすくなります。また、寝た姿勢では鼻の位置が低くなるので鬱血しやすく、鼻は詰まりやすい。クッションや枕を使って少し頭を高くするのも1つの手です」(同)

しかし、「いざ睡眠」というタイミングで頭を高くするのも大変。そんなときに役立つのは、マラソン選手などが試合中に鼻へと貼りつけ、呼吸を楽にする鼻孔拡張テープの存在だ。

「皆さんに必ず効果があるわけではないですが、もともと鼻の通り道が狭い人は、テープを貼ることで外鼻が外側に引き上げられ、鼻内に隙間ができ、息がしやすくなる人もいます」(同)

また、「鼻を温めるのも効果的」と木村医師は話す。

「鼻を温めると血行が促進され、鼻水や鼻詰まりの症状が改善することもあります。手軽な方法としては、蒸しタオルの活用が1つの手。タオルを水で濡らして絞り、ラップに包んで電子レンジに入れて30秒温めれば、蒸しタオルは完成です。これを鼻の付け根に乗せれば、鼻詰まりが改善されることもありますよ」(同)

まだまだ続く花粉症シーズン。症状に四苦八苦している方は、上記ほか、さまざまな対策法を試して、自分にあった方法を見つけていただきたい。

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