創刊2周年『週刊コロコロ』でも読める! おじさんたちが子どもの頃にハラハラした『コロコロ』漫画

てんとう虫コミックス『ゲームセンターあらし』第1巻(小学館)

2022年3月に創刊された『週刊コロコロコミック』(小学館)が2周年を迎えた。コロコロ公式の漫画配信サイトで、新旧名作やオリジナル漫画が楽しめると好評だ。

『コロコロコミック』のはじまりは、1977年創刊された小学館の小学生向けの月刊漫画雑誌で、「ガッツな笑いとド迫力」をキャッチコピーに子どもたちの心を掴む熱い作品が多い。40代のおじさんである筆者にとっては、子ども時代のバイブルのような雑誌だった。

そこで今回は、子どもの頃にハラハラした『コロコロ』漫画を紹介したい。

■断崖絶壁を大ジャンプ!? レースは過酷で当たり前『ダッシュ!四駆郎』

まずは、1987年から連載がはじまった、徳田ザウルスさんの“ミニ四駆”漫画『ダッシュ!四駆郎』を紹介したい。ミニ四駆をテーマにした本作では主人公・日ノ丸四駆郎とマシン・エンペラーの活躍がいきいきと描かれており、当時、第一次ミニ四駆ブームの火付け役となった。

現実のミニ四駆レースと言えば、レーンの付いたコースを周回するイメージだと思うが、本作のコースは砂や砂利のオフロードがメインだ。また、ミニ四駆はまっすぐにしか走れないが、それをコントロールするため、四駆郎らはアイスホッケー選手が持っているようなガイドスティックを用いて操縦していく。ミニ四駆と一緒に走るのは現実的にはかなり大変だと思うが、子どもの頃はこの姿に憧れたものだ。

そして、作中のレースはユニークかつ過酷だ。コースが森や岩場なのは当たり前で、たとえば、コミックス3巻「激戦!“竜巻の谷” の巻」、4巻「十字架の丘の巻」で登場する“竜巻の谷”のコースは、巨大竜巻が吹き荒れる砂漠を進み、蟻地獄のような流砂を越え、ゴールは断崖絶壁からその下の川を越えた先にあるなど、とにかく熾烈を極める。

四駆郎のチーム・ダッシュ軍団は、壊れたミニ四駆が積み上げられた丘とその頂上の十字架を使い大ジャンプして越えてみせていた。とはいえ、このレースの結末は、マシンがこの大ジャンプの衝撃に耐えきれず動かなくなり、無念のリタイアとなってしまうのだが。いや、厳しすぎるだろう……。

■ぶっ飛んだ特訓と個性的なライバルたちとの対戦が熱い『炎の闘球児 ドッジ弾平』

『コロコロコミック』のミニ四駆漫画と言えば、先に挙げた『ダッシュ!四駆郎』のほか、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』なども有名だが、その作者であるこしたてつひろさんは『炎の闘球児 ドッジ弾平』という“ドッジボール”漫画も手掛けている。

1989年に連載開始された本作は、当時のドッジボールブームを牽引した。筆者が小学生の頃は、友達のほとんどがドッジボールをしていたことを思い出す。

燃え上がる炎のような赤い頭髪が特徴の、ドッジボール大好き少年・一撃弾平の活躍を描いた本作。1991年にテレビアニメ化もされ、時を経て2022年からは『週刊コロコロコミック』で弾平の娘・弾子を主人公に続編の連載もされている。

本作ではなんといってもドッジボールの特訓シーンがかなり熱く、ぶっ飛んでいたのが印象的だ。第1話「闘球児、一撃弾平」で弾平は、亡き父の巨大な墓を使ってキャッチボールをし、渾身の力でボールを投げ墓石をなぎ倒していた……。

また、第3話「打倒!四天王」では、断崖絶壁に作られたドッジボール練習場でキャッチングの特訓をする。

大木に強力なゴムを巻き付けた巨大ピッチングマシンを使うも、なかなか上達しない弾平。そうこうしているうちに事故でピッチングマシンから子犬が発射されてしまい、それを助けるために完璧なキャッチングをマスターするというハチャメチャぶりだ。

そして、試合はさらに熱い。空中から投げるスカイショットの二階堂大河、ボールを潰して投げるプレスショットの陸王冬馬など強力なライバルたちが登場し対戦する。左右どちらから投げるか分からない高山準のスイッチショットは、地味ながらよくマネをしたものだった。

■奇想天外な必殺技で難関ゲームを攻略『ゲームセンターあらし』

最後に、1979年に連載がスタートした、すがやみつるさんの『ゲームセンターあらし』を紹介したい。“テレビゲーム”をテーマにしており、作中では当時流行していた『スペースインベーダー』や『パックマン』なども登場する。

普段は冴えないがゲームの腕はピカイチの主人公・石野あらしが、数々の奇想天外な必殺技でゲームを攻略していくという内容で、当時としては画期的だった。

第1話「必殺!つるぎの舞」で描かれた『スペースインベーダー』攻略では、ピアノ教室で特訓をし身につけた技、“必殺UFO落とし・つるぎの舞”を使い、指から血を吹き出させながらも難関ゲームを攻略していた。

さらに、第2話「ウルトラスペシャル月面宙返り」では、“全日本インベーダー選手権”が開催される。プレイヤーははるか上空の飛行船からプレイし、観客は東京湾上に浮かぶタンカーに設置された巨大スクリーンで観戦するという、とてつもない規模の大会の模様にワクワクさせられた。

親指だけで逆立ち30分、縄跳び1000回の特訓で大会に挑んだあらし。ゲームマシンの上に逆立ちになり、最後はアクロバティックな回転技・“月面宙返り”で攻略していた。“テレビゲームは座って遊ぶもの”という固定概念をぶっ壊した作品だった。

今回は“おじさんたちが”子どもの頃にハラハラした『コロコロ』漫画を紹介してきた。いずれも「ガッツな笑いとド迫力」という、本誌のキャッチコピーそのままの作品だった。

ミニ四駆と並走してレースをしたり、ボールの威力で人やモノを弾き飛ばしたり、アクロバティックな技でゲームをしたりと、大人である今考えると「ちょっと現実的には厳しいかな」と思えるような技もある。しかし、子どもの筆者たちにとっては「今はできないけど“いつかできること”」であったのだ。『コロコロコミック』には、そんな子どもの心をワクワクさせる作品が溢れていたように思う。

創刊2周年を迎えた『週刊コロコロコミック』では、当時の漫画が掲載されていたりもする。ぜひこの機会に、名作たちを振り返ってみてはいかがだろうか。

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