『殿さまのスケッチブック』永青文庫で 細川重賢による多彩な動植物の写生図を33年ぶりに公開

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東京都文京区にある永青文庫では、2024年4月27日(土)より『殿さまのスケッチブック』を開催する。細川家熊本藩6代藩主・重賢(しげかた、1720-85)が、自ら博物図譜に掲載した多様なスケッチを、同館で33年ぶりに紹介する展覧会だ。

18世紀、日本では中国の薬学・博物学である「本草学」の影響を受けて博物学が発達し、「博物趣味」に熱中する大名もあらわれた。その先駆けとなったひとりが重賢だ。

細川重賢といえば、財政、産業、教育、司法の改革を次々と行い、その優れた藩政で「肥後の鳳凰」と呼ばれた名君だが、一方で動物や昆虫、植物などに強い関心を示し、採集・飼育した動植物の写生図とその情報をメモした博物図譜も制作した。

《百卉侔状(ひゃっきぼうじょう) 》(部分)江戸時代(18世紀)永青文庫蔵

代表作は、哺乳類や爬虫類、魚類などの様々な動物が、名称、年月日、場所とともに記録された「毛介綺煥(もうかいきかん)」。そのなかから同展では、インパクトのある「アサヒガニ」の描写や、今は絶滅したといわれる「ニホンオオカミ」の図を含む裏面を前期に、「ヤマネ」「アナグマ」の図を含む面面を後期に、全場面広げて紹介する。哺乳類や魚介類など様々な図を通覧できる初の貴重な機会である。

「毛介綺煥(もうかいきかん)」(部分)江戸時代(18世紀)永青文庫蔵 前期展示

昆虫が幼虫からサナギになり、羽化して成虫になる様子を、日付とともに緻密に描いた日本初の昆虫生態記録「昆虫胥化図」(こんちゅうしょかず)も有名だ。重賢は、高松藩の松平頼恭(よりたか、1711-71)ら博物趣味を持つ諸大名と交流し、互いの図譜を貸し借りしては、新たな写しを作っていたという。

また、展覧会場では、重賢の図譜を、実物の動植物の写真とともに紹介する。「リアル」を写そうとする殿さまの、ひたむきな情熱と好奇心を感じることができるに違いない。

<開催概要>
初夏展『殿さまのスケッチブック』

会期:2024年4月27日(土)〜6月23日(日) ※会期場面替えあり
会場:永青文庫
時間:10:00〜16:30(入館は16:00まで)
休館日:月曜(4月29日・5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
料金:一般1,000円、70歳以上800円、大高500円
公式サイト:
https://www.eiseibunko.com/

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