地中に遺体「まさか」 青森・七戸町の遺棄事件、地元住民驚き

殺害されたとみられる男性の遺体が見つかった現場。規制線の中にブルーシートが見える=8日午後、七戸町家ノ下(東奥日報社ドローンで撮影)
殺人・死体遺棄事件の捜査本部を設置し、記者会見する小田桐勝行刑事部長(左)と洞内友美七戸署長=8日午後3時ごろ、七戸署

 「警察から遺体が埋まっているかもしれないので調べると言われたが、まさか」。青森県七戸町のトラック運転手の男性(54)の遺体をプラスチック容器に入れて埋めたとして、同町森ノ上の会社役員の容疑者の男(47)ら2人が8日、死体遺棄の疑いで逮捕された。トラック運転手の男性が行方不明とのうわさは数カ月前から広まっており、七戸署などは4月1日、同町家ノ下の私有地を掘り起こして遺体を発見。逮捕を知った住民らは「まさか自分の家の近くに遺体が埋まっていたなんて」と驚きを隠せなかった。

 複数の地元住民によると、現場は4年ほど前から工事などの残土が運び込まれていたという。1日午前8時ごろ、30~50人の警察官が訪れて周囲に規制線を張り、重機を使って土を掘り返しているのが見えた。

 警察から遺体が埋まっているかもしれないと言われた近くの60代男性は「そんなはずがあるか」と思っていた。しかし、同日午後3時ごろ、ブルーシートで包んだそりのようなもので何かが運ばれるのが遠目に見えて「本当だったのかと驚いた」。

 七戸署に設けられた捜査本部は同容疑者らが2月上旬ごろに遺体を埋めたとみているが、住民らによると今年の1~3月は雪がほとんどなかったため、2月に残土を運び込む業者がいても不思議には思わなかったという。

 別の70代男性は「遺体が日中に運ばれてきて、他の残土と同じように重機で埋められていたとしても、通常の作業にしか見えない。逆に、真夜中にこっそり埋めようとしたら、運んできた車や重機の音で、われわれ近隣住民は気付くはず」と指摘した。

 同月、ダンプからこぼれた土砂で汚れた道路を、同容疑者が清掃している姿を複数の住民が目撃している。同容疑者の中学時代の先輩に当たる40代男性は「声をかけたら『お久しぶりです』と普通にあいさつを返してきた。髪形や身なりは派手な雰囲気だったが、態度は礼儀正しかった」と振り返った。

 死亡した男性の自宅周辺の60代女性は「行方不明になっていたといううわさは聞いていたが、殺されたのかもしれないなんてびっくり。こんな田舎で事件が起こるなんて」とうつむいた。

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