テスラ、2018年にAutopilot使用中に中央分離帯へ衝突し死亡したアップル社員の遺族と和解へ

Mike Mareen / Adobe Stock

2018年3月にAutopilot使用中のテスラModel Xが起こした事故で、テスラと死亡したアップル従業員遺族との間で和解が合意に至ったことが報じられています

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この事故では、アップルのエンジニアだったウェイ "ウォルター" ファン氏が乗るModel Xが、Autopilotでハイウェイを走行中に車線を外れ、側道への分岐点に設置された緩衝バリアに突っ込んで大破しました。ファン氏は事故後に死亡が確認されています。

ファン氏が事故に遭遇する直前、彼のスマートフォンにはゲームアプリの画面が表示されていたことがわかっています。テスラは、このことを根拠に問題はAutopilotでなく、ファン氏がスマートフォンでゲームをしていたことが原因だと主張していました。

しかし、2020年に提出された米国家運輸安全委員会(NTSB)による調査結果では、事故の発生時にファン氏が本当にゲームをしていたという証拠はなく、Autopilotが車線を外れたことと、ファン氏の漫然運転の両方が事故の原因になったと結論づけられました。

ただ、このNTSBの報告では、事故発生時Autopilotが車線を外れたのち、緩衝バリアに向かって加速し、さらに前方衝突警報システムが警報を出すことも、自動緊急ブレーキシステムが作動することもなかったことが判明しています。これは、テスラのシステムが車線を見落とし、緩衝バリアや分離帯障壁の色合い薄汚れていて認識しなかったためだとされています。

ファン氏の遺族はその後、事故によるファン氏の死は不法死亡だとしてテスラを訴え、その主張ではテスラの運転支援システムの安全性と設計上の欠陥の疑いに焦点が当てられました。裁判は今週、カリフォルニア州サンノゼの裁判所で始まる予定となっていましたが、直前になってテスラ側が和解金の支払いに応じる意向を示したため、裁判は取り下げられることになります。

テスラの弁護士は、裁判所に提出した和解に関する書類の中で、同社が「長年の訴訟に終止符を打つため、原告らと和解契約を結んだ」と記しました。そして「他の潜在的な請求者(または原告の法廷)が和解金額をテスラの潜在的な損失責任の証拠として認識する可能性がある」ことなどから、和解金額額は非公開とするよう遺族に求めています。

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