テレビの不思議 ラウンド中の番手はどうして分かる?

視聴者にはありがたい「番手」を知る方法とは?(撮影/田辺安啓(JJ))

ゴルフ中継を見ていて不思議に思ったことはないだろうか? 例えば、選手がパー3のティショットを打つ場面で、テレビレポーターがショットの直後に「今は8番アイアンで打ちました」などと即座に使用番手を伝える。なんで番手が分かるのだろう…と。

ロフトの大きさやシャフトの長さなどから推測しているわけではなく、その答えは簡単だ。選手のキャディが、レポーターに教えているのである。今回、「Tモバイルマッチプレー」準々決勝を戦った勝みなみのキャディ、トム・ワトソン氏の動きを13番(パー3)のティイングエリアで観察してみた。

勝が番手を決め、アドレスの準備動作に入ると、ワトソン氏はキャディバッグを引いて端に離れる。すると、アメリカの中継局の男性スタッフかサッと近づく。その気配を感じたワトソン氏は、すぐに左手の人差し指で「1」を示すようなサインを送った。

このホールは185yd。硬いグリーンへの打ち下ろしなので、女子プロなら大体5番から7番アイアンの距離となる。この場合、指1本は6番を示し、5番ならグーを作る。7番なら指2本を出すという具合だ。

(1)端に離れる(撮影/田辺安啓(JJ))

キャディには使用番手を伝えてくれるよう事前に依頼しているわけだが、専用のスタッフを用意できない場合、少し離れた場所にいるラウンドレポーターに番手を教えることもある。日本の中継局WOWOWでレポーターを務める片平光紀プロも、ラウンド中に番手を視聴者に伝える際には、このようにキャディから情報を得ている。

ところで、試合中、先に打った選手の番手を知るために、後に打つ選手のキャディが同伴競技者のバッグをのぞき込んだりしていることを、皆さんは知っているだろうか?

これ自体はルール違反ではないし、見られる側もバッグを隠すようなことはしない。コソコソ見られるのが逆に面倒だからと、あえて手に持ったクラブのソール部分を見えるように、ゆっくりバッグにしまう選手やキャディもいる。

同伴競技者の番手をチラリと確認(撮影/田辺安啓(JJ))

ただし、番手が見やすいようにクラブに被せているタオルをわざわざ取るなどの行為は、「番手を見せてアドバイスしていることになる」(LPGAルール委員)として違反になるとのこと。あくまでも、見えてしまうのは仕方ないが、積極的に見せたり、教え合ったりしたらルール違反、というわけだ。(JJ田辺カメラマン)

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