小4死亡…去った運転手、何年も捜す母「逃げ得を許さない」 迫る時効前、SNS情報で逮捕された犯人も 交通安全運動に合わせ、情報を求めるチラシ配る SNSには情報提供が480件届く

車のドライバーにチラシを手渡し、情報提供を呼びかける母親(左)=8日午後4時ごろ、熊谷市本石1丁目

 埼玉県熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳さん=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件で、県警と孝徳さんの母親は8日、「春の全国交通安全運動」に合わせ、市内の事故現場付近でドライバーなどにチラシを配布し、情報提供を呼びかけた。

 事故が起きたのは09年9月30日午後6時50分ごろ。孝徳さんは自転車で帰宅途中に、同市本石1丁目の市道で事故に遭った。16年に道交法違反(ひき逃げ)の時効が成立。県警は自動車運転過失致死罪の時効が目前だった19年9月、罪名を危険運転致死罪に変更し、捜査を継続することになり、時効は10年延長された。

 県警は県警本部交通捜査課と熊谷署の署員計27人が参加。事故現場付近にある北大通りで、400枚のチラシを車のドライバーなどに手渡した。

 母親は死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求める署名活動も実施しており、昨年11月には法務省などに嘆願書も提出している。「逃げ得を許さない、逃げることを考えない社会にするためには、時効撤廃は必要不可欠」と強調した。

 街頭活動前に母親は地元のコミュニティーFM「FMクマガヤ」にも生出演。19年1月からブログを始め、情報提供の呼びかけを行っており、交流サイト(SNS)を通して今年2月までに約480件の情報提供があったという。「今はSNSからの情報提供がきっかけで時効前に犯人が逮捕された事件もある。何年たっても犯人逮捕を願っている」と話していた。

 母親のブログは「《未解決》熊谷市小4男児死亡ひき逃げ事故!」(https://ameblo.jp/kosekitakanori/)。

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