前田大然、伝統の一戦での「センセーショナルな22秒ゴール」で現地メディアからは軒並み高評価! 「信じられないほどのスタミナ」にも賛辞

4月7日のスコットランド・プレミアシップ第32節では、レンジャーズとセルティックのグラスゴー2強による伝統のダービーマッチ「オールドファーム」が行なわれ、劇的な展開の末に3-3の引き分け。結果、セルティックが勝点1差での首位を守っている。

レンジャーズの本拠地アイブロック・スタジアムでの一戦は、試合開始からわずか22秒、セルティックGKジョー・ハートのロングフィードを、レンジャーズDFのジェームズ・タバニアが不用意にタッチラインにクリアしたところ、背後から猛追していた前田大然の身体に当たってボールは軌道を変え、ホームチームのゴールに突き刺さった。

その後、両チームがVAR検証の末に得たPK(セルティックは34分にマット・オライリー、レンジャーズは55分にタバニア)を決め、86分にアブダラー・シマのシュートでレンジャーズが追いつくと、その1分後、アウェーチームはアダム・アイダーが勝ち越し弾。しかしこれで決着とはならず、アディショナルタイム3分、ラッビ・マトンドのゴラッソが炸裂し、土壇場で試合は振り出しに戻り、勝点1を分け合うことになった。
この伝統のカードには、前田の他、古橋亨梧、旗手怜央、岩田智輝の4人がスタメンでプレーした。最も脚光を浴びたのは、クラブの公式サイトが「何というスタート!」「アイブロックスを驚かせたゴール」と伝えた、衝撃の先制点のスコアラーである前田だ。このプレーだけでなく、敵陣で精力的かつスピーディーに動いてボールを奪い、決定機を創るなど、背番号38は存在感を発揮している。

現地メディアでは、スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』が「前田は開始30秒以内にタバニアの下手なクリアに合わせ、GKジャック・バトランドを破ってゴールにボールを飛ばすと、アイブロックスの観衆を唖然とさせ、沈黙させた。今季のプレミアシップ最速ゴールは、アウェーチームにとって大きなゴールだった」と伝え、10点満点の採点では旗手、オライリーと並んでチーム最高の「8」を前田に与えた。

同カードでは、2002年にセルティックのクリス・サットンが記録した開始19秒でのゴールに次ぐ最速弾を決めた日本人選手について、英国の日刊紙『The Guardian』はレンジャーズの視点から「タバニアは、印象的な前田大然の加速度のことを忘れていたのかもしれない。あるいは、前田に接近されていることに気付かず、それに気付いた時には、すでに対応が遅れ、GKバトランドが対応するのも難しい状況になっていた」と、前田の驚異的なスピードに言及している。 スコットランドの日刊紙『THE SCOTSMAN』は、「7」の高採点で、寸評でも「日本人選手は一貫して活発だった。先制の場面ではタバニアを背後から捉え、このレンジャーズのキャプテンに大きな衝撃を与えた。後半はあまり危険なプレーはなかったものの、素晴らしい1日となる仕事を果たした」と称賛した。

同採点とした『THE SCOTTISH Sun』紙は、「センセーショナルな22秒での先制ゴール。タバニアに迫るようにしてクリアをブロックすると、ボールが跳ね返ってGKバトランドを破った」と先制の場面に言及するとともに、「試合を通して信じられないほどのスタミナを発揮した」と、彼の別の貢献ぶりを強調している。

『The Herald』紙も同採点で、「試合開始からわずか22秒後、チームにリードをもたらした。エネルギーとプレッシングによって称賛された彼は、敵地アイブロックスで己の役割の重要性を示した」と、やはりこちらも前田の持ち味であるフィジカル面に賛辞を贈った。
最後に、地元グラスゴーの総合サイト『Glasgow World』はチーム最高タイとなる「8」をこのアタッカーに付与し、「彼自身の努力による特異なオープニングゴール。一時も休むことなく、試合の間ずっと、タバニアの頭の中にいた」との表現で、相手守備陣に多大な影響を及ぼしたことを示している。

ちなみに、前田と同等、あるいはそれ以上の評価を現地メディアから受けた日本人選手が旗手で、『Glasgow World』はこのMFを「非常に洗練されている。2つの強烈なロングレンジシュートは上手くセーブされたが、旗手はこの試合のプレーのテンポを決定づける存在だった。彼の復帰はチームにとって、タイトルを決定づけるものだ」と最大級の賛辞を贈り、彼にも「8」の最高採点を与えた。

構成●THE DIGEST編集部

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