「奈良のシカ」駆除可能エリア拡大へ 維新・串田氏が慎重対応要請「良しとするような風潮広がるのは好ましくない」

国会議事堂(資料写真)

 国の天然記念物に指定されている「奈良のシカ」の保護計画を巡り、奈良県がシカの駆除が可能なエリアを広げる方向で検討していることが、9日の参院環境委員会で明らかになった。日本維新の会の串田誠一氏(全国比例)に伊藤信太郎環境相が答弁した。

 答弁などによると奈良県はシカ生息地を、奈良公園を中心とした「保護」、周辺の「緩衝」、その外側の「管理」の3地区に区分。農作物に被害を与えたシカが出た場合、管理地区では駆除を実施し、緩衝地区では特別柵エリア内での無期限飼育を行ってきた。奈良県は食害が深刻化し特別柵への収容数が限界に来ていると判断。有識者会議を立てて地区線引きの見直しなどを検討しているという。

 串田氏は野生ニホンジカである「奈良のシカ」の歴史を引き「駆除を進めることを良しとするような風潮が広がることは好ましくない」と慎重な対応を要請。伊藤環境相は「鳥獣の適切な個体数を守っていくという意味もある」などと理解を求めた。

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