“投壊”エンゼルスで孤軍奮闘のトラウト、トレードでファンが夢見る対大谷「WBCの再現」の可能性

4月9日(日本時間)、対レイズ戦で5号ソロを放ったトラウト(写真・AP/アフロ)

2024年4月9日現在、エンゼルスは10試合を消化して6勝4敗と、昨季のワールドチャンピオンのレンジャーズと並んで首位に立っている。“大谷ロス”を考えれば、序盤戦とはいえ、大健闘かもしれない。

ただし、勝ち方がいけない。10試合で総得点が48に対し、総失点が54。防御率は5チーム中、断トツの最下位で5.11である。勝つときは接戦、負けるときは大量失点なのだ。

そんななか、攻撃陣で孤軍奮闘しているのがマイク・トラウトだ。全試合に出場し、打率.297、5本塁打、2盗塁、6打点。OPS(出塁率と長打率を足した値)も1.138を記録しており、久々にMVP争いに加わる勢いだ。

だが、いかんせん投手陣が心もとなく、このまま地区優勝争いをキープできるとは思えない。

「とにかく先発の駒が足りません。これから暖かくなって、暑さが厳しくなれば、さらに深刻な問題となってチームに押し寄せてくるでしょう。そんななか、チームリーダーとしてがんばっているトラウトは、今季、補強しなかったチームに不満を持っている、と現地では伝えられています。ファンも彼の言葉は知っていますし、すでに今季はあきらめています。

このままでは、夏場以降に優勝争いから脱落することは目に見えています。そうなると、チームは来季を念頭に置いたチームつくりに変更していきます。2030年まで年3500万ドル(約53億円)の契約が残るトラウトですが、若手の有望株数人とのトレードが、現実味を帯びてきます。実際、SNS上では『スーパースターあるいは高額プレーヤーから、若手中心のチームに切り替えたほうがいい』『これまでもトラウトは十分やってきてくれた。彼を優勝争いのできるチームに放出すべき』『トラウトを開放しろ!』といった声が多数、寄せられているんです」(現地記者)

では、エンゼルスが早々と優勝争いから脱落したとして、トレードされるのはどのチームなのか。

「MLBアナリストのスティーブン・ネスビット記者は、ポッドキャスト番組『The Windup』のなかで『トラウトのトレードに応じられるのはブレーブス。見返りに、若手有望株やベテランでも実力者を出すことができるからだ』と語っています。もしこのトレードが実現すれば、両チームにとって大きなメリットになることは間違いありません」(同前)

トラウトのブレーブス移籍実現は、なにを意味するのか。

2023年、ドジャースはナ・リーグ西地区で100勝62敗。ブレーブスも東地区で104勝58敗と、ともに断トツの成績で優勝した。メジャーリーグファンは、いったいどちらのチームが強いのかと、ポストシーズンを楽しみにしていた。

ところが、リーグ優勝決定戦で雌雄を決すると誰もが期待していたなか、ともにその前のディビジョンシリーズで敗退という失態を演じていたのである。だからこそ、両チーム、ファンともに今季にかける思いは強い。

ベッツ、フリーマンに大谷翔平の加入でMVPトリオが完成したドジャース。昨季総本塁打数が307本と、メジャータイ記録の打線にトラウトが加わるブレーブス。ともに超大型補強が成功したとなれば、今季こそ、地区優勝決定戦で相まみえる可能性は高い。

大谷は今季登板することはないが、対トラウトということを考えれば、それは2023年のWBC決勝の再現でもある。トラウトの移籍を願うファンは多い。

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