子育て支援金「正面から議論を」「結果だけ押し付けるな」 日本総研・西沢氏が政府与党批判、野党とも一線

国会議事堂(資料写真)

 子ども・子育て支援金制度創設を盛り込んだ法案を巡り、9日の衆院子ども政策特別委員会で参考人の意見陳述が行われた。政府に先立ち負担額を試算し国会での議論に一石を投じた日本総合研究所の西沢和彦理事が出席。野田毅元建設相をはじめ自民党の重鎮が批判を浴びながら消費税を導入した経緯を引き、「先人に学び正面から議論をすべきだ。結果だけを押し付けるな」と政府与党の姿勢を批判した。代わりの財源確保策として増税の可能性にも言及するなど、野党にも覚悟を迫った。

 西沢氏は「少子化対策は重要」と前置きしつつ「歳出改革をしても不足する財源は消費税をはじめとした税で対応すべきだ」と訴えた。物価高騰対策で減税を訴える野党の立場と一線を画す姿勢も鮮明にした。新年度予算案採決に向けた2月29日の中央公聴会でも公述人を務め、支援金制度への反対を表明している。

 政府は予算案審議期間は負担額の試算資料を示さない一方、岸田文雄首相は1人当たりの負担額を「粗い試算で月平均500円弱になる」と国会で説明。「給与増もセットで進む。新たな負担にはならないとご理解いただきたい」との答弁を重ねていた。

 しかし2月21日の衆院予算委では立憲民主党の早稲田夕季氏(衆院神奈川4区)が「500円を超す」などとした西沢試算を引き追及。加藤鮎子こども政策担当相は「超す可能性がある」と政府として初めて負担増を認めた。予算の可決・成立翌日の3月29日にこども家庭庁が公表した試算では最大950円に膨らんでいる。

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